基本的な考え方・方針

アイシンは提供価値として「安心と感動をお客様へ」を掲げ、品質にこだわり、お客様の期待を超える新しい価値を生み出します。
また、アイシンは企業の行動指針「サステナビリティ憲章」と個人の行動指針「アイシングループウェイ」の基盤に「品質至上」を据えています。商品・サービスのみならず、仕事の質を高めることに徹し、すべての従業員が互いに協力し合い「お客様第一」を基本に企業体質を改善する活動、TQM※1を推進しています。

Total Quality Management

品質方針は下記のように定め、品質保証活動の体系を「品質マニュアル」に規定しています。

品質方針

安全、地球環境に配慮し、商品のライフサイクルを通じて、お客様が求めるすべての品質を追求することで、感動と笑顔が得られる製品・サービスをタイムリーに提供し、安心・快適な社会づくりに貢献します。

推進体制

グループ品質本部はグループ全体の品質に関して責任・権限を持ち、お客様に対して品質を保証する役割を担っています。
世界のお客様へ満足と安心を提供するために、品質機能会議を核として各製品本部と機能本部に品質方針を展開しています。それに基づく品質向上活動を監視するとともに常にお客様の声を吸い上げて全社にフィードバックし、監査活動や品質教育等を実施してより良い商品づくりを目指しています。
昨今のトヨタグループで発生した認証不正や当社北米子会社での品質問題を受けて経営トップも入り込み、法規認証委員会の新設や製品品質向上をねらった全社横断チーム活動を展開し、信頼回復に向け取り組んでいます。さらに「品質至上」を徹底的にやり抜く人・職場風土づくりなど、現場の声を拾い上げながら意識改革をけん引しています。

推進体制

戦略

グローバルに最高の品質を実現する体制を構築し、安心・安全をお客様に届ける

  • 次世代製品・コト品質への対応、ガバナンス強化によりグローバルで通用する品質保証の仕組み(品質マネジメントシステム)を構築・監査改良する
  • DX社会の中で、成長領域である電動化やカーボンニュートラルの進展に対して新たな価値を創造できる人財を育成する

主な取り組み

中長期の成長領域に対する開発~生産各プロセスでの確実な品質保証

電動化への対応においては、製品設計の段階から設計、生産技術、工場の専門部署が一体となって活動し、DXを活用した開発プロセスの革新による、開発期間の短縮を進めています。新製品の立ち上げにおいては品質保証体系にてきめ細かく実施要領を作成し、各プロセスの節目において厳格に品質を見極めています。開発段階ではお客様目線で安全性・法規の再検証や各商品群の技術・知見を集約し、失敗事例の潰し込み等設計品質向上に取り組んでいます。また品質評価においては、高低温下、悪路・氷結など各種路面、電磁波など世界の特異環境を再現した自社のテストコースや設備を活用し、お客様目線で自動車に求められる機能・性能を総合的に評価しています。さらに生産準備段階においては、生産ラインシミュレーションなど最先端のデジタル技術を駆使して完成度の高い生産ラインを短期間で立ち上げ、量産トライを何度も繰り返して安定した生産・品質の向上に努めています。

品質保証ステップ

製品開発における信頼性評価

自動車に求められる機能・性能を総合的に評価する

アイシンは、他の自動車部品メーカーに先駆けて、1970年という早い時期から周回路を持つ総合試験場を建設し、世界中の道路状況を再現したテストコースや最先端の設備によって商品の性能・耐久性を検証・追求し続けています。

世界の特異環境を再現した評価

高品質な製品を、自信を持ってお客様へ提供するため、世界の特異環境を再現した評価を自社で行っています。
ユーザー視点であらゆる角度から試験を実施し、評価結果を商品開発に即座にフィードバックすることで、高まる信頼性確保のニーズに確実に応えています。

テストベンチでのeAxle性能・耐久評価
テストベンチでのeAxle性能・耐久評価
電子機器への電磁波の影響を評価
電子機器への電磁波の影響を評価
人工氷結路での車両安定性評価
人工氷結路での車両安定性評価

総合試験場

藤岡試験場:低・高温室、電波暗室、エンジン評価など、多角的な車両および製品の総合評価を実施
藤岡試験場
低・高温室、電波暗室、エンジン評価など、多角的な車両および製品の総合評価を実施
豊頃試験場:人工氷結路・世界の路面を再現した総合周回路を活用した評価を実施
豊頃試験場
人工氷結路・世界の路面を再現した総合周回路を活用した評価を実施
ファーラビル試験場:日系自動車部品メーカーとして初めての北米試験場
ファーラビル試験場
日系自動車部品メーカーとして初めての北米試験場

お客様の苦情1件目へのこだわりとビッグデータによる未然防止への取り組み

新製品立上りや既存製品も含めお客様の苦情に関する初報1件ごとに、海外拠点も含めた関係部門へ情報を展開し、お客様への迷惑の最小化に向けてグループ一丸となって取り組んでいます。発生要因については徹底的に究明し製品への対策のみならず仕事のやり方まで追求した再発防止活動を進め、得られた教訓を活かし、より良い製品づくりに努めています。
また、最近ではお客様苦情の低減、撲滅に向けて、車両・製品から得られるビッグデータを活用し、故障が発生する前に予兆を検知し、診断・予測措置する活動を進めています。
さらに、お客様の期待を超える品質「使って感動する製品」を目標に、お客様の声(SNS情報)から潜在的不満を見える化し、製品の品質向上活動へ反映しています。

ビックデータ

「品質至上」を徹底的にやり抜く人・職場風土づくり

アイシンにとって原点とも言える「品質至上」という価値観を取り戻すため、「知識」「心」「環境」の3つの視点で従業員に働きかけています。「品質至上」を現代に合わせて解説した啓発ツールの発行による「知識」の普及、生々しい失敗事例を展示した伝承館や現物展示にこだわった品質展示会による「心」への訴求、品質講演会や従業員とトップとの品質対話、職場単位での品質ミーティングにより全員がすべての業務の品質にこだわる価値観が当たり前の「環境=職場風土」の構築に力を入れています。
また、QCサークル活動による改善に加え、全従業員の品質行動宣言(1回/年)とその振り返り(1回/月)や、品質至上の3要素に基づいた自身の業務の振り返り(1回/年)等、日常業務を通じた人・職場風土づくりの基盤強化にも努めています。

「品質」を追求するための3要素

「品質」を追求するための3要素

品質マネジメントシステム

アイシンはIATF16949※3に適合した品質マネジメントシステムを構築してお客様へ満足と安心をご提供できるよう全従業員が一丸となって品質保証活動を推進しています。2025年5月現在、52の生産拠点でIATF16949の認証を取得しています。

IATF16949:自動車産業に特化した品質マネジメントシステム

品質教育

グループ12社の全従業員を対象に、「品質至上」の実践を行動指針のすべての基盤とし、品質関連の活動を実施しています。新入社員には伝承館の品質学習ゾーンの見学を通して「品質至上」の価値観、品質の大切さを伝承しています。
また、全階層向けに品質知識の教育を実施しており、技能系向けQC・品質管理研修、事務職・技術職スタッフ向け問題解決研修、管理職向けマネジメント研修等を実施しています。
さらに、全従業員を対象とした品質講演会、役員との品質対話会、全工場で開催する品質展示会等を通し「お客様目線で全員がすべての業務の品質にこだわる」価値観や、品質に関わる個の知見を伝承しています。QC・信頼性・データ解析等に関する品質研修(40コース)は “いつでも” “どこでも” “だれでも” 受講できるようeラーニング化しています。受講後はテーマ相談会や交流会を開催し実践力を磨いています。これらの研修をもとに、グループ全体で人材育成を行っています。