社会
基本的な考え方・方針
アイシンは生産活動において、さまざまな部品や原材料を世界各国多数のサプライヤーから供給いただいています。取引にあたっては、良きビジネスパートナーとして共存共栄することを基本理念に、サプライヤーとの信頼関係の構築に取り組んでいきます。「長期安定取引を前提としたサプライヤーとの共存共栄」・「オープンでフェアな取引の遂行」の精神のもと、サプライチェーン全体で持続可能な調達活動を推進するため、「アイシングループ調達基本方針」をグローバルに展開しています。
推進体制
グループ調達本部は、サステナビリティ会議をはじめとする社内の各委員会・推進会議に属しており、それらの主管部署並びに関連部署と連携しながら、サプライヤーに対する窓口として各種施策を推進しています。また、国内グループ会社とは段階的に機能統合を進めるとともに、海外各地域では統括拠点の調達機能と密に連携し、サプライヤーへの統一した調達方針の展開や、課題の吸い上げ・解決活動を行っています。2025年度はグローバル主要地域である日本・北米・欧州・中国・ アジア・インドで「調達方針説明会」※を実施し、昨今の事業環境変化を共有するとともに、グループ調達方針を展開しています。
各地域における取引依存度の高いサプライヤーを中心に招待(日本750社、海外1,011社)
サプライチェーン推進の体制図
グローバルサプライヤー数
(単位:社)
| 部品 | 原材料その他 | 計 | |
|---|---|---|---|
| 日本国内 | 1,187 | 1,241 | 2,428 |
| 海外 | 1,965 | 321 | 2,286 |
| 計 | 3,152 | 1,562 | 4,714 |
戦略
事業環境・商品構成等の大きな変化の中、品質を基盤として安定供給を実現するため、強靭なサプライチェーンの構築を進めています。あわせて、グローバルでの調達最適化と各地域の実情に応じた対応を両立し、競争力強化に取り組んでいます。また、継続的なベンチマークや自社の現状分析、ベストプラクティスの導入を通じて、「品質・コスト・スピード」の向上をはかっています。
主な取り組み
オープンでフェアな調達活動
アイシンでは、新たなサプライヤーとの取引にあたり、ISO9001・IATF16949やISO14001認証の取得状況調査、品質監査などを実施した上で取引を開始し、その後も関連部署と協業して品質・安全・環境・耐震・サイバーセキュリティなどの点検を継続して実施しています。
サプライヤーとは、オープンでフェアな精神に則り、競争法や贈収賄防止、反社会的勢力の排除などの法令遵守に加え、安全衛生・公害防止などへの留意を明記した取引基本契約書を取り交わし、公正な調達活動を推進しています。
また、サプライチェーン全体の共存共栄や、望ましい取引慣行の遵守などを明記した「パートナーシップ構築宣言」を2020年6月に公表しています。その具体的な取り組みの一つとして、2024年1月に取引適正化を推進する専門組織を設置しました。近年は、関税の影響に加え、労務費、原材料価格、物流費、エネルギーコスト等の上昇に対して、すべてのサプライヤーに対して一社一社丁寧にコミュニケーションを取り、適正な価格転嫁を実施しています。
また、サプライヤーが相談・要請しづらい立場であることを踏まえ、主要サプライヤーへ定期的にアンケートを実施し、アイシン社員のコンプライアンスに関する実態や、各社様の困りごとを確認しています。アンケート結果を踏まえ、調達部員が直接サプライヤーへ訪問して生の声をヒアリングするなど、本音のコミュニケーションから積極的なサポートにつなげる体制を構築しています。
さらに2025年5月グループ調達本部内にサステナビリティ推進を担う新組織を設置しました。
全社の活動との接続をはかりながら、カーボンニュートラルを含むグリーン調達の推進に加え、人権(外国人就労を含む)やサイバーセキュリティなどの社会課題に対して、サプライヤーの皆様と連携しながら取り組みを進めています。
サプライヤーと一体になった品質基盤強化
お客様に信頼いただける製品を提供し続けるためには、サプライチェーン全体で品質保証の維持・向上に取り組むことが不可欠です。アイシンでは、サプライヤーとの取引基本契約である「購入部品 仕入先品質保証実施基準書(SQAM)」に基づき、サプライヤーと一体となった品質向上活動に取り組んでいます。
すべてのTier1サプライヤーのIATF16949認証取得状況を把握・管理。そのうえで品質目標の達成状況や保安部品(安全上重要な部品)などの有無を踏まえ、重点対象となる509社に対して、定期的な自己点検及び現地監査を実施し、改善が完了するまで継続的な支援を行っています。
また、リスクに応じてTier2以降のサプライヤーについても、第三者認証・監査の状況を確認するとともに、当社による監査を実施し、工程及び品質管理の改善に向けた指導を行っています。
さらに、重点サプライヤーに対しては、トップマネジメントや現場管理の強化など、品質の土台づくりをサポートする活動を実施しています。加えて、主要サプライヤーを対象に、不具合事例や再発防止策の共有を通じた未然防止活動を推進し、サプライヤーの品質意識向上と再発防止の徹底に取り組んでいます。
原材料サプライヤー新規採用時には、ISO9001又はIATF16949の認証状況を確認の上、調達部署と品質保証部署協業で工程監査を実施し、採用可否の決定を行います。
原材料品質に影響がある工程を持つTier2以降については品質自主点検、工程監査を実施し、品質の維持・管理状況を確認しています。
また、「購入資材仕入先品質保証実施基準書」を制定し、購入材料の含有物質(成分)について、社内基準に基づき管理し、定期的な確認を実施しています。
これらを通じて、すべてのサプライヤーに対し、品質の維持・向上に向けた継続的な啓発活動を行っています。
安定供給に向けた強靭なサプライチェーン構築
従来の想定リスク(自然災害、事故、半導体逼迫等)に加え、不確実性が高まる世界情勢(地政学リスク、保護主義、資源制約)下においても、お客様への供給を継続するため、専門組織を設置し、常日頃からタイムリーに情報をつかむ体制を構築しています。有事におけるリスク対応においては、生産拠点と対象品番の特定が最重要と考え、2025年に新たにBCP管理システムを構築し、サプライヤーから提供いただいた購入部品・原材料の製造工程に関する情報を登録・活用し、サプライチェーンを可視化して早期にリスクを共有し、初動と復旧対応を迅速に行っています。こうした取り組みにより、2026年7月の熊本地震においても、サプライヤーを含むサプライチェーン全体の被害状況を迅速に把握し、代替生産などのBCP対応を速やかに実施することでお客様への供給継続につなげました。
また、レアアース・半導体を筆頭とする特にリスクが高いと認定された部品に関しては、在庫水準の見直しや、設計部署と協業で、開発初期段階において汎用性の高いものを採用する等の施策を取っています。
加えて、グループ調達本部の各部に先行調達を推進する組織を設置し、新製品の開発段階から関連部署と連携しながら、地政学リスクや供給不安に備えるとともに、競争力のある材料・部品を安定的に調達できるよう、戦略的な選定を進めています。
サプライヤーサステナビリティガイドライン
持続可能な社会の実現、ESG課題への対応、グローバル市場における競争力の維持・向上、リスク管理の観点から、サプライチェーン全体での課題解決が重要と考え、2025年10月、「アイシングループサプライヤーサステナビリティガイドライン」を改定・発行しました。主要なTier1サプライヤー、及び原材料・半導体サプライヤー等、戦略的に重要な732社に対し、ともに取り組みたいと考える内容をガイドラインとして示し、サプライヤーへの説明会を通じて理解活動を推進しています。これに加え、2025年度はサステナビリティに関連する取り組みについてSAQを実施し、88%の企業から回答が集まり、そのすべてにおいて、ガイドラインへの賛同が確認されました。今後、各社提出の自己点検結果に基づき、改善が必要な項目への支援やフォローアップを進めていきます。
また、「アイシングループグリーン調達ガイドライン」を発行することで温室効果ガスの削減、廃棄物を含めた資源循環、水保全、生物多様性の保全をサプライヤーに求めています。
サプライチェーン全体視点での競争力強化に向けた取り組み
サプライヤーの技能向上や企業体質の強化を目的に、主要サプライヤーに対し人材育成支援を行っています。
サプライヤーのVA活動、旧型金型廃却活動、品質向上活動、ものづくり改善活動に伴走する専門組織をそれぞれ本部内に設置し、サプライヤーの意見を尊重しながら、製造工程における困りごと解決、現地・現物・現場にこだわった競争力の原資を発掘する取り組みを行っています。
主要サプライヤーの事業承継・後継者育成に向けて、基本2年間、希望する部署に受け入れる「子弟留学制度」をはじめ、ニーズに合わせ従業員の出向受け入れ及び、各種教育を実施しています。
その他、アイシンのサプライヤーが相互研鑽や優良事例の横展開を目的に編成する協力会社の活動を側面から支援し、生産性・品質向上を目指す諸活動及び、安全・環境活動などへの助言を行っています。2025年度には、労働災害・火災の未然防止、サイバーセキュリティの強化、人権取り組みに関する勉強会や、サプライチェーン全体でのカーボンニュートラル達成に向けた相互研鑽会を実施しました。
従業員への教育・研修
アイシンでは調達活動に従事する従業員一人ひとりが、公正で誠実な調達活動を推進できるよう、贈収賄の禁止をはじめ各種法令遵守に向けた具体的な行動を「グループ調達行動憲章及び行動指針」として定めています。その実践に必要な心得については、「調達のこころ」として冊子にまとめ、すべての調達部員に対して必須教育として実施しています。また、環境・カーボンニュートラル・人権・腐敗防止、競争法等関連法規、機密管理などに関する教育を、調達業務に従事する全従業員を対象に毎年実施しています。
その他の取り組み
責任ある材料調達
指針
人権や環境などの社会問題への影響を考慮した鉱物調達活動をグローバルで推進するため、各国法規制(米国金融規制改革法、EU紛争鉱物規則など)で問題とされる鉱物の使用回避に向けた取り組みを実施しています。またサプライヤーに私たちの考えをご理解いただくとともに、責任ある鉱物調達活動に取り組んでいただくよう要請しています。
取り組み
2025年度もサプライヤーに協力いただき鉱物の使用状況を調査(CMRT)し、お客様にその結果を回答しました。また、業界団体に参画し、効果的な調査方法の確立などに努めています。今後も指針に基づき、責任ある鉱物調達を進めていきます。
