「"移動"の価値を創造する会社」へ

株主の皆さまには、平素よりご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。昨年9月の創立60周年に続き、今年4月には経営統合から5年の節目を迎えました。ひとえに、株主の皆さまをはじめ、多くの方々の長年にわたるご支援の賜物と、心より感謝申し上げます。

2025年度を最終年とした中期経営計画は、「事業ポートフォリオ変革」と「経営基盤の強化」を二本柱に掲げ、取り組んでまいりました。成長領域へのリソーセスシフトを進めるとともに、世界ナンバーワンを誇るパワートレインのフルラインアップ戦略により、ハイブリッド車やガソリン車などの幅広い需要を確実にとらえることができました。収益体質と資本効率は着実に向上し、これまでの取り組みに手ごたえを感じています。

本年度スタートさせた2028年中期経営計画では、こうした成果を土台に、成長への歩みを加速させます。主力商品の収益力強化と品揃え拡大を図る「商品軸」、地域主体で事業運営を強化する「地域軸」、経営基盤を一層強固にする「機能軸」。この三つの軸を連動させ、SPEED&AGILEな経営に取り組みます。

商品軸では、足元の稼ぐ力を高めて収益を積み上げながら、中長期の成長を見据えた取り組みも同時に進めてまいります。具体的には、「走る・曲がる・止まる」を支える領域や「移動の快適性」を実現する領域に加え、アフターマーケットやエネルギーといった新たなビジネス領域で、将来への「仕込み」に取り組んでまいります。

特に注力したいのが、地域軸経営のさらなる深化です。日本で鍛えた「ものづくり力」を現地に根づかせ、経営トップをはじめ、営業・調達・生産といった機能の現地化を進めることで、世界中の自動車会社との関係を強化し、グローバルでの受注拡大につなげたいと考えています。

こうした成長を支えるのは、挑戦し、成長し続ける「人」です。AI・DXを活用した働き方改革や、プロ人材化に向けたスキルの強化、年齢に関係なく意欲ある人材を登用するといった「人への投資」を進めます。従業員のエンゲージメントの向上を通じ、「全員が元気に挑戦し、人も会社も育つ会社」を実現します。

これからのモビリティ社会を見据え、「感動する移動とは何か」という問いをすべての従業員と共有しながら、2035年を見据えたビジョンの策定を進めています。株主の皆さまとの対話を大切にしながら、中長期での競争力強化に向けた成長投資と株主還元をバランスよく行い、「移動」の価値を創造する会社への変革を一層進めてまいります。

2026年6月
株式会社アイシン
取締役社長:吉田 守孝