戦略

アイシンは、気候変動が事業活動および中長期的な企業価値に与える影響を踏まえ、カーボンニュートラルの実現を中心的な課題と位置づけています。「生産」と「製品」の両軸から施策を展開し、2035年の生産CO2カーボンニュートラル、2050年のカーボンニュートラルの実現を目指しています。生産面では、徹底した省エネ活動や革新的な生産技術の開発によるエネルギー使用量削減、再生可能エネルギーなどのクリーンエネルギーの導入・切替を実施します。
製品面では、電動車向け製品のさらなる進化、エネルギー・資源循環システムの普及を進め、モビリティ・エネルギー技術融合による新価値創出を目指します。あわせて、資源の有効活用や廃棄物削減といったサーキュラーエコノミーの考え方を取り入れることで、環境負荷低減の取り組みを強化しています。なお、気候変動に伴う移行・物理的リスク、機会を下記対象・シナリオ・定義に基づき年1回分析し、定期的に対応を決定しています。

(ⅰ)分析対象
拠点:アイシングループ全拠点
事業:全事業

(ⅱ)シナリオ
短中長期の視点を捉える中で、移行・物理的リスク及び機会が顕著に表れ、事業活動への影響が大きいことから下記二つのシナリオを選定し、分析を実施しました。

1.5℃シナリオ 4℃シナリオ
社会像

【政策】

炭素税導入や再生可能エネルギー促進等、温室効果ガス削減に向けた大胆な政策が実施される

【技術革新】

エネルギー効率、炭素回収・利用・貯留等の技術が急速に発展、社会実装化

【市場変化】

モビリティ市場における電動化シフトが急伸、温室効果ガス削減に寄与する製品・サービスが市場拡大

【地球環境】

気温上昇が4℃を超え、異常気象による事業へのマイナス影響が顕著になる

参照元
  • IEA World Energy Outlook「NZE」
  • 自動車産業のシナリオ
  • IPCC AR6 SSP5-8.5
関連リスク
  • 移行リスク
  • 物理的リスク

(ⅲ)時間軸の定義
長:~2050年度、中:~2030年度、短:~2026年度

(ⅳ)財務影響の定義
大:100億円以上、中:10億円以上100億円未満、小:10億円未満

気候変動のリスクと機会、アイシンの対応

区分 リスク/
機会の
種類
影響段階 アイシンへの影響 時間軸
(長・中・短)
財務影響
(大・中・小)
対応
移行リスク 市場 製品需要 電動化の推進で電動車向け製品需要が拡大する一方、ガソリン車向け製品需要が減少 中 大
  • 電動ユニット、回生協調ブレーキ、熱マネジメントシステムや空力デバイスなど、幅広い製品によるモビリティの電動化とエネルギーソリューションでカーボンニュートラルへ貢献する製品の拡販を強化
  • 駆動ユニットのフルラインアップを強みに、ガソリン車需要取り込みによるシェアアップを推進
調達 低炭素原材料の需要が高まり必要な原材料の価格高騰による調達コストの増加 中 大
  • 製品設計時点での軽量化や材料置換による使用原材料の削減
  • サーキュラーエコノミーの推進による購入原材料の削減
政策・
規制
直接操業 炭素税や再生可能エネルギー導入などの政策によるコストの増加 中 大
  • エネルギー使用ミニマム化に向けた省エネ活動の推進
  • 地域ごとの特徴を活かした再生可能エネルギーの導入
物理的リスク 急性 直接操業 気象災害(大雨、台風、洪水など)の発生頻度増加や激甚化による被災時のサプライチェーン寸断の発生に伴う一時的操業の停止 短 中
  • 異常気象発生時における行動基準及びルールの策定
  • 調達物流のBCP高度化
  • リスクのある拠点を抽出して定期的にモニタリング
  • 浸水対策計画の策定、実施
機会 製品・
サービス
製品需要 電動化の推進による電動車向け製品の需要拡大 中 大
  • 駆動ユニットのフルラインアップを強みに、増加するPHEV、HEV需要を獲得
  • 高効率&小型化により電費向上したeAxleの拡販を推進
  • 回生協調ブレーキシステムの進化による電費や感性性能の向上に伴う拡販推進
  • 関連製品の生産能力拡大
CO2削減に寄与する製品・サービスへの需要拡大に伴う新規事業創出 中 中
  • ペロブスカイト太陽電池の市場投入・シェア確保
  • ヤシ殻由来のバイオ成型炭(Bio-M-Coke®)の販売
  • CO2固定化技術の構築と事業化
省エネルギーかつ低炭素排出の製品需要の拡大 中 中
  • 家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」の高効率化と拡販を通じて、高効率で安定したエネルギー供給の実現および停電時の自立発電機能によるレジリエンス向上に貢献
  • 自治体と協業で脱炭素事業を推進し、まちづくりへ貢献
資源
効率性
直接操業 エネルギー利用の効率化による調達コストの減少 中 大
  • 動力源・熱源・無駄レスの徹底による省エネルギー化
  • 革新的な生産技術の開発
  • CO2の回収・利活用やバイオ成型炭等の開発・導入によるクリーンエネルギー化

リスク管理

環境委員会等は、全社的なリスク管理プロセスのもと、戦略で識別されたリスク及び機会への対応を協議・決定し、定期的に進捗をフォローしています。なお、対応策の検討にあたっては各国の法規制、ステークホルダーとの対話、顧客動向等を考慮しています。

指標と目標

アイシングループ全拠点を対象として、下記目標を設定しています。

【2050年度目標】

Scope1、2、3:カーボンニュートラル

【2035年度目標】

生産CO2排出量(生産拠点のScope1、2):カーボンニュートラル

【2030年度目標】

Scope1、2:2019年度比46.2%削減(SBTiによる認定取得)

Scope3:2019年度比27.5%削減(カテゴリ1、11のみSBTiによる認定取得)

【2025年度実績】

Scope1、2、3:2,409万t-CO2e(2019年度比7.4%削減)

Scope1、2:174万t-CO2e(2019年度比37.4%削減)

Scope1:51万t-CO2e

Scope2:123万t-CO2

Scope3:2,235万t-CO2e(2019年度比3.8%削減)

生産CO2排出量(生産拠点のScope1、2):169万t-CO2(2013年度比38.9%削減)