アイシンのマテリアリティ

アイシンは、2019年度に選定したマテリアリティに基づきサステナビリティ経営に取り組んできましたが、事業環境や社会からの要請の変化に対応すべく、2025年1月にマテリアリティの見直しを行いました。
3つの優先課題と5つの実現に向けた方向性をアイシンのマテリアリティとして特定し、事業活動を通じてその解決に取り組みます。

マテリアリティの図

マテリアリティの特定プロセス

経営理念の実現に向けて、長期の事業環境を踏まえ、アイシンとして対処すべき課題は何かを定義づけたものをマテリアリティと位置づけています。
マテリアリティの特定において、従業員から役員まで経営理念の本質を再確認し、社会課題と照らし合わせながら、アイシンが優先すべき課題を選定しています。マテリアリティ特定のプロセスは以下の通りです。

課題の抽出 STEP1 一般的なビジネスやESGに関わる課題のリストアップ
参照ガイドラインや開示基準:ESRS、ISSB、SASB、GRI等
優先順位付け STEP2 従業員ワークショップにてアイシンの事業活動に関連する課題を抽出
STEP3 役員ワークショップ(社外取締役含む)にて経営者目線で重要な課題の絞り込み
ステークホルダーエンゲージメント
(投資家、社外有識者、地域住民、サプライヤー、従業員等)
STEP4 マテリアリティ案の妥当性を検証
マテリアリティの特定 STEP5 サステナビリティ会議にてマテリアリティ案を議論・決議
取締役会へ報告・承認

リスク・機会

マテリアリティ特定にあたり、社内外の環境変化からアイシンにとってのリスクと機会の分析、評価を実施しています。
結果は以下の通りです。

外部環境認識 アイシンにとっての
リスク・機会
マテリアリティ
優先課題 実現に向けた方向性
Politics(政治) リスク

自然との共生、
持続可能な未来への貢献

世界中の人々に
移動の自由を提供

多様な人材の活躍と
人生の充実

バリューチェーン全体での
環境負荷低減

クリーンなエネルギー社会に
向けたソリューションの提供

人生を豊かにする
“移動”価値の創造

挑戦する企業文化の醸成

多様性を尊重しともに
輝き強くなる

  • 環境規制や安全基準の強化
  • エネルギー政策の不確実性
  • 国際社会の多極化、不安定化
  • 自動車市場の成長鈍化
  • 電動化による既存製品の需要低下と売上減少
  • 技術革新に対応できないことによる競争力の低下
  • 地政学リスクの発現によるサプライチェーン途絶
  • バリューチェーン上での環境・人権問題発生による信頼低下
  • 従来の思考パターンに囚われ創造力が停滞
  • 人材獲得競争の激化
Economy(経済)
  • 先進国市場の成長停滞、新興国市場の拡大
  • 経済成長の鈍化
Society(社会) 機会
  • 高齢化社会・生産年齢人口減少
  • ライフスタイルや価値観の変化
  • 社会課題解決に対する企業への期待の高まり
  • 各国のエネルギー事情に応じた柔軟な商品提案
  • グローバルサウスの経済発展への貢献
  • 現地化によるレジリエンス強化と事業機会拡大
  • 知能化による商品付加価値の向上
  • カーボンニュートラル・サーキュラーエコノミーへの貢献
  • 交通事故低減への貢献
  • 新規事業の開拓
  • 人材の多様性を活かした新価値創造
Technology(技術)
  • AIをはじめとするデジタル技術革新
  • 自動車産業の構造変化
盤石な経営基盤の構築
(安全・品質・コンプライアンス・人権・
環境・リスクマネジメント・ガバナンス)

サステナビリティに関するリスクについては、全社のリスク管理(ERM:Enterprise Risk Management)に統合されています。具体的なリスクや対応の詳細は、リスクマネジメントをご参照ください。また、サステナビリティに関する機会については、各種主要会議、経営会議での審議を経て、重要な機会は取締役会に付議・報告を行っています。

マテリアリティとKGI・KPI

取締役会から承認を得たマテリアリティに対し、KGI・KPIを設定し、具体的な活動計画へ落とし込み推進しています。

優先課題 実現に向けた
方向性
目標(KGI) 指標(KPI) 2030年度
目標値
対象 貢献する
SDGs
自然との共生、
持続可能な未来への貢献
バリューチェーン全体での環境負荷低減 [カーボンニュートラル]
2050年 CN達成、2035年 生産CO2 CN達成
Scope1、2排出量
(2019年度比)
▲46.2% 連結
目標12:つくる責任つかう責任
目標13:気候変動に具体的な対策を
Scope3排出量
(2019年度比)
▲27.5%
[サーキュラーエコノミー]
2040年 ゼロエミ工場達成(埋立廃棄物1%以下)
資源の有効活用 10%効率化※1
廃棄物最小化 廃棄物排出量(2019年度比) ▲11%
クリーンなエネルギー社会に向けたソリューションの提供 モビリティ・エネルギー領域でのクリーンテック※2製品・サービスの普及 製品・サービスによるCO2排出削減貢献量※3 2,000万t-CO2※4
目標7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに
目標13:気候変動に具体的な対策を
世界中の人々に
移動の自由を提供
クリーンテック商材の事業化件数 3件以上
人生を豊かにする
“移動”価値の創造
安全・安心、快適・利便なモビリティの実現 駆動ユニット販売台数※5(1969年度~累積) 2億7千万台
目標3:すべての人に健康と福祉を
目標11:住み続けられるまちづくりを
新規採用された製品・サービス件数(2025年度~累積) 500件
アフターマーケットの品揃え・サービス拡充
製品・サービスカテゴリー数
100品目以上
移動関連サービス延べ利用者数(MAU※6 183,400人
新規事業 重点領域数 3領域
挑戦する企業文化の醸成 新要素技術が蓄積され続けている状態 発明件数※7 1,500件
目標8:働きがいも経済成長も
目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう
チャレンジが促進されている状態 社員エンゲージメント肯定回答率※8 -
多様な人材の活躍と人生の充実 プレゼンティーイズム パフォーマンス度※9 85% アイシン
単体
多様性を尊重しともに
輝き強くなる
多様なプロが活躍できる環境がある 社員を活かす環境肯定回答率※10 - 連結
目標5:ジェンダー平等を実現しよう
目標8:働きがいも経済成長も
女性管理職※11比率 4.5%※12 国内グループ会社
盤石な経営基盤の構築 安全 安全最優先の文化構築 重大災害※13件数 0件 連結
目標3:すべての人に健康と福祉を
目標8:働きがいも経済成長も
目標11:住み続けられるまちづくりを
目標16:平和と公正をすべての人に
コンプライアンス 重大法令違反、重大コンプライアンス違反がゼロの状態 倫理アンケート肯定回答率 90%
人権 重大人権侵害ゼロを実現できている状態 人権リスク特定調査実施率※14 100%
人権教育実施率※15 100%
ガバナンス 取締役会をモニタリング・ボードに移行(監督と執行を分離)することで、経営の透明性、内部統制の強化を図れている状態 取締役の女性比率 30%以上 アイシン
単体

資源の有効活用 効率化:不要物排出量の低減率と不要物を資源としてグループ内で循環させる量の増加率との合計

クリーンテック:環境への負荷低減(再生可能エネルギー利用、効率向上、資源の循環利用等)を実現する技術

CO2排出削減貢献量:製品の性能向上による、使用時のCO2排出量削減効果

前提:2025年7月時点での見通しに基づく

駆動ユニット販売台数:AT・CVT・HEV・PHEV・eAxleの販売台数

MAU:Monthly Active Users、月に1回以上利用があったユーザー数

発明件数:特許出願件数、秘匿ノウハウ件数、公開ノウハウ件数の合計件数

社員エンゲージメント肯定回答率:社員意識調査において「会社に対して貢献意欲やロイヤルティがあり、自発的努力をしようという気持ちになっている」と回答した従業員の割合

プレゼンティーイズム パフォーマンス度:健康な状態で発揮できるパフォーマンスを100%としたときに過去1カ月で80%以上発揮できたと感じる社員の割合

社員を活かす環境肯定回答率:社員意識調査において「自分のスキル・能力を活かす機会があり、働きやすい環境が整備されている」と回答した従業員の割合

管理職:基幹職(課長)以上

アイシン、アイシン高丘、アイシン化工、アドヴィックスの4社を対象とした活動から、国内全グループ会社へと対象範囲を拡大したことに伴い目標値を再設定

重大災害:死亡災害

人権リスク特定調査実施率:(人権リスク調査を実施した会社数 / 連結の会社数)×100

人権教育実施率:(コンプライアンス・人権教育を受けた人数 / 連結の従業員数)×100

なお、2024年度までの優先課題(マテリアリティ)とKPI・2030年度目標に対する実績は以下の通りです。

優先課題(マテリアリティ) KPI 2024年度実績 2030年度目標
事業活動を通じた社会課題の解決
目標3:すべての人に健康と福祉を
目標11:住み続けられるまちづくりを
目標13:気候変動に具体的な対策を
  • 地球温暖化防止
  • 交通事故低減
    安全な移動・輸送手段の提供
  • 健康と福祉の推進
社会課題の解決に寄与する成長領域※16
向け商品売上収益(比率)

成長領域売上+HEVユニット売上

総売上

41% 58%
健康・福祉に資する
商品・サービス延べ利用者数
MAU:35,700人 MAU:183,400人
目標7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに
目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう
目標12:つくる責任つかう責任
  • 技術革新による持続可能な産業化の促進
  • CO2排出削減
  • 汚染防止
  • 環境負荷物質削減
  • 資源循環
  • 資源効率の改善
  • クリーンエネルギー転換の推進
成長領域向け研究開発費比率 63% 80%
ライフサイクルCO2排出量削減率 重点カテゴリごとのワーキンググループ活動充実
(生産、原材料、仕入先支援、物流、廃棄物、CE等)
▲25%以上
【2019年度比】
生産CO2排出量 削減率(総量)
【2013年度比】
算出中 ▲50%以上
(138.6万t-CO2※17/年)
活動を支える経営基盤
目標3:すべての人に健康と福祉を
目標8:働きがいも経済成長も
  • 労働安全衛生
  • 健康
  • 人権
  • 多様性の促進
  • 働きがい改革
  • ワークライフバランス
  • コンプライアンス
  • 持続可能な調達
重大災害件数 0件 0件
休業度数率 0.25※18 0.05
女性管理職比率 2.8%※19 6.0%
働きがい
(社員意識調査結果、5ポイント評価)
3.3ポイント※19 4.0ポイント
(グループ連結)
重大法令違反※20件数 0件 0件
グループ・グローバル共通でのサプライヤー向け
ガイドライン策定・展開によるガイドライン遵守率
(カーボンニュートラル目標2030年度
▲25%以上【2019年度比】含む)
グループ・グローバル
5地域
(米・中・欧・印・亜)
の仕入先への周知完了
100%

成長領域:2023年9月14日公表の中長期事業戦略説明会資料P8に基づく

生産CO2排出量(総量)の2030年度目標値:「第7次アイシン連結環境取組プラン」での係数を用いて算出

実績算出対象会社:2024年度時点で共通の指標で管理をしているアイシングループ12社(アイシン、アイシン高丘、アイシン化工、アイシン軽金属、アイシン開発、アイシン機工、アイシン辰栄、アイシン福井、豊生ブレーキ工業、アドヴィックス、アイシンシロキ、アート金属工業)

実績算出対象会社:2024年度時点で共通の指標で管理をしているアイシングループの主要会社4社(アイシン、アイシン高丘、アイシン化工、アドヴィックス)

重大法令違反:重大法令に違反する犯罪行為または最終的に刑罰につながる行為