基本的な考え方・方針

アイシンはコンプライアンスについて、法令を遵守するだけでなく、経営理念である「“移動”に感動を、未来に笑顔を。」の精神で良き企業市民として皆さまの期待と信頼に応えていくことが重要だと考えています。
そのために、「アイシングループサステナビリティ憲章」および「アイシングループ行動規範」を基本方針とし、重点法分野である独占禁止法および腐敗防止について、グループ共通の独占禁止法遵守方針と腐敗防止方針、具体的に取るべき行動となるガイドラインを作成、展開しています。なお、腐敗防止方針に関しては、ステークホルダーからの要請・期待に応え、「アイシングループ腐敗防止方針」を「アイシングローバル贈収賄・腐敗行為防止ポリシー」へ2025年5月に見直し、展開しています。

また、アイシンでは、働く一人ひとりが「誠実」「正直」「公正・公平」といった高い倫理観を共有し、自然体でコンプライアンスを実践できるよう、国内外のグループ会社での徹底に努めています。グローバルでのグループ法務・コンプライアンス体制の整備による高いコンプライアンス意識の維持と重大法令違反の撲滅を目標としています。
アイシンでは言いたいことをお互いに言える「風通しの良い職場風土づくり」こそがコンプライアンスの基盤であると考え、迷ったらまずは上司などへ相談できる環境づくりや、内部通報窓口の利用周知を徹底しています。さらに、個人と職場のコンプライアンスの意識を測る「倫理アンケート」や職場巡回を通じて職場の生の声を吸い上げ、喜びも悩みも共有することで互いを尊重し思いやれる職場風土づくりを進めています。

2024年度 
独占禁止法違反件数

0

2024年度 
腐敗防止法違反件数

0

推進体制

アイシンでは、コンプライアンスに関わる重要方針・体制を決める会議体として、グループ人事本部長を委員長とする「企業行動倫理委員会」を設置しています。グループ12社の社長、役員、監査役が出席して、法令遵守を含むコンプライアンスの活動状況および課題を確認するとともに、次年度の活動方針と実施事項を承認しています。
2018年1月より、グループ全体で一定基準以上のコンプライアンスレベルを確保するため、各社の法務機能部署を集約し、グループ本社法務部を立ち上げ、グループ唯一の法務専門機能部署として、国内外のグループ会社のコンプライアンス活動を企画・推進しています。併せて、グループ各社にコンプライアンス責任者および推進者を設け、グローバルでコンプライアンスを推進する体制を構築しています。

企業行動倫理委員会の体制図

企業行動倫理委員会の体制図

コンプライアンス活動のPDCA

コンプライアンス活動のPDCA

戦略

アイシンでは「自然体でコンプライアンスが実践できている状態」にするために、毎年、企業行動倫理委員会にて、ビジネス環境の変化や、ステークホルダーからの要望などを踏まえ、コンプライアンスの重点領域を選定し(2025年度:インテグリティ、ハラスメント、適正取引、贈収賄・腐敗、独占禁止法)、マテリアリティKGIである重大法令違反・重大コンプライアンス違反0件を目指しています。特に、贈収賄・腐敗防止および独占禁止法については、2020年に方針・ガイドラインを制定してから5年が経過しているため、より理解を深め行動として定着するよう、継続的に働きかけています。また、倫理アンケートを通じて、コンプライアンス意識の高さ(KPIである、倫理アンケート肯定回答率)を測っています。

関連するマテリアリティ

マテリアリティ 目標(KGI) 指標(KPI) 2030年度目標値
盤石な経営基盤の構築 重大法令違反、重大コンプライアンス違反がゼロの状態 倫理アンケート
肯定回答率
90%

主な取り組み

重大法令違反、重大コンプライアンス違反ゼロに向けた取り組み

風通しの良い職場風土づくり

アイシンでは、問題の早期発見・是正・未然防止のため に、風通しの良い職場風土づくりを推進しています。経営層自ら現場に出向き、本音・生の声(困りごと・不安)を聞き取り自分ごととして認識・対応し、各職場では各種倫理アンケートの結果を踏まえた本音の議論を推進しています。

内部通報制度による問題の早期発見・是正

アイシンでは、コンプライアンスに関する通報・相談窓口を設け、国内外の役員、従業員、退職者、その家族、取引先、ならびに地域住民などのステークホルダーから、広く相談を受け付けています。対応時はプライバシー保護、相談者への不利益防止などへの配慮を徹底しながら、不正行為などの早期発見と是正に努めています。
通報・相談窓口は、内容に応じて使い分けができるように、各社相談窓口、弁護士が対応するグループ共通の社外法律事務所の窓口、グループ本社法務部が対応する「アイシン企業行動倫理相談窓口」を設置しています。また、社外ステークホルダーからは、ウェブ入力方式の 「アイシングローバルホットライン」で通報・相談を受け付けています。内部通報案件はグループ本社法務部に集約され、重要案件はグループ本社法務部が対応をリードし、問題の早期発見と是正につなげられる体制を構築しています。さらに、定期的にアイシンの監査役へ報告し、運用面のモニタリングを行っています。その他にも、外部弁護士を招聘し、客観的、専門的な知見を取り入れて重要案件へ迅速に対処できるように努めています。

内部通報制度の体制

アイシングループにおける内部通報ルート

内部通報制度の体制

内部通報制度の利用状況

内部通報窓口受付件数

内部通報窓口受付件数

国内外通報・相談件数

国内外通報・相談件数

その他に含まれる主な案件は、社内ルール・手続きに関するお問い合わせ、職場の人間関係に関する悩みなどであり、コンプライアンスや不正行為に関する通報ではありませんが、従業員がより良いコンディションで働くことができるように心配を取り除くという観点から、関係部署と連携し、対応しています。

倫理アンケート

アイシンでは毎年、国内外の全従業員(派遣社員、アイシンへの出向者、定年後再雇用、期間従業員等、グループ社員も含む)に対してコンプライアンスに関する共通の倫理アンケートを実施しており、2024年度の回答率は93.6%でした。
コンプライアンス活動の浸透度や、潜在的なコンプライアンスリスクの有無、内部通報窓口の認知度などを調査し、その結果を企業行動倫理委員会で報告する他、社内各部署および国内外グループ各社へフィードバックを行っています。また、調査結果を分析し、的を絞って重点支援が必要なグループ会社への改善の取り組みも行っています。

各種教育・啓発活動

アイシンでは、従業員一人ひとりが自然にコンプライアンスを実践できるよう、さまざまな教育・啓発活動を行っています。2024年度は、国内外の従業員(派遣社員、アイシンへの出向者、定年後再雇用、期間従業員等、グループ社員も含む)の93.5%がコンプライアンスに関する教育または、啓発活動に参加しました。教育については、階層や役割、業務に応じた集合研修やeラーニングを国内外において実施しています。また、社内ポータルにはオンデマンド研修動画や、ハラスメント防止のポイントをまとめたアニメーション動画などを掲載し、各自のタイミングで研修の受講や視聴をできるようにすることで、コンプライアンスをより身近に感じられるように工夫しています。
啓発活動については、毎月法務Newsやケーススタディを発行しています。最新情報の提供や、失敗を含むさまざまな事例を題材にしたディスカッションシートを展開し、自分ごとと捉える意識付けを図っています。また、2024年度は、トップメッセージを記載したポスターを海外拠点も含めて展開し、従業員の意識を高めています。

主な教育・啓発一覧

分類 研修名/ツール 主な内容 実施頻度
教育 階層別 役員コンプライアンス講演会 最新のコンプライアンステーマ 1回/年
新任役員教育 役員の責任、重点テーマ 就任時
人間力OMOIYARIコミュニケーション研修 役員、管理職として必要な人間力・コミュニケーション力 1回/年
部長向けコンプライアンス研修 コンプライアンスの重要性・役割 1回/年
CSRマネジメント研修
(新任管理者向け研修)
コンプライアンスの重要性 管理職昇格時
新任工長研修 コンプライアンスの重要性・役割 工長就任時
雇い入れ教育 コンプライアンス基礎・憲章・行動指針 入社時
役割別 コンプライアンス責任者教育 責任者の役割、重点テーマ 1回/年
輸出管理責任者教育 法律・会社ルール 1回/年
海外赴任前教育 コンプライアンスの重要性・重点テーマ 赴任時
海外トップマネジメント教育 オフィサーとしてのコンプライアンス遵守の責任 就任時
通報窓口担当者教育 調査方法、留意点 1回/年
テーマ別 独占禁止法遵守教育 法律・会社方針・ガイド 随時
腐敗防止教育 法律・会社方針・ガイド 随時
インサイダー取引防止教育 法律・会社ルール 随時
啓発 記事 経済安全保障情報 法規制、最新動向の展開 1回/月
グループ本社 法務News 法規制・身近なコンプライアンス事例・法務部の取り組みの紹介 1回/月
漫画 職場ディスカッションシート テーマ別解説・留意点 1回/月

主なオンデマンド研修アイテム

  • ・独占禁止法
  • ・インサイダー取引規制
  • ・下請法
  • ・製造物責任
  • ・贈収賄・腐敗防止
  • ・輸出取引管理
  • ・ハラスメント
  • ・クリアコミュニケーション
  • ・偽装請負
  • ・労務
  • ・著作権
  • ・契約   など

その他の取り組み

事業変化への対応

アイシンは既存事業にとどまらず、さまざまな新規事業に取り組んでいます。多様化する事業形態に潜在するコンプライアンスリスクに先手で対処できるよう、重要案件は 早期からグループ本社法務部が相談に応じています。また、契約審査に関する相談のためのチャットボットやFAQ、 法律相談窓口を設け、各事業との連携を強めています。

贈収賄・腐敗防止

アイシンでは、公正かつ透明な事業活動を通して社会秩序に寄与することを目指しています。2020年に制定した「アイシングループ腐敗防止方針」および「アイシングループ腐敗防止ガイドライン」を一元化し、より具体的に示すことで実効性を高める目的で、「アイシングローバル贈収賄・腐敗行為防止ポリシー」として2025年5月に改訂しました。本ポリシーでは、贈収賄、汚職行為、ファシリテーションペイメント、利益相反、政治献金・寄付、ビジネスパートナーの選定、適正な経理処理と記録などについて明確化しています。
さらに、グループ共通の「飲食・接待・贈答(交際費)ガイドライン」を発行するとともに社内規定において事前申請および承認手続きを定め、贈収賄・腐敗を防止する仕組みを運用しています。

独占禁止法遵守

アイシンでは、2014年の米国独占禁止法違反の教訓を風化させることのないよう、継続的に独占禁止法遵守に取り組んでいます。2020年に「アイシングループ独占禁止法遵守方針」を策定・展開するとともに、具体的な行動規範となる「アイシングループ独占禁止法遵守ガイドライン」を制定し、法律の遵守を徹底しています。
独占禁止法遵守の重要性については、各種研修で取り上げて教育を実施することに加え、国内外のグループ会社で地域ごとのリスクに応じた研修も行っています。
なお、競合他社との接触にあたっては、グループ本社法務部が事前チェックを行い、違法性のないことを確認するルールを運用しています。