基本的な考え方・方針

当社は、グループ経営理念のもと、企業価値の最大化に向けて、すべてのステークホルダーと良好な関係を築き、長期安定的に成長し、発展していくことを目指しています。
そして、その実現には、国際社会から信頼される企業市民として、公正で透明性の高い経営活動を展開することが重要であり、基本方針を掲げ、コーポレートガバナンスの充実に取り組んでいます。

コーポレートガバナンス体制

コーポレートガバナンス体制

CxO: 執行役員から選任された重点経営課題を全社組織横断して推進していく最高責任者であり、グループ全体を俯瞰した視点から社長を補佐する。

関連するマテリアリティ

マテリアリティ 目標(KGI) 指標(KPI) 2030年度目標値
盤石な経営基盤の構築 取締役会をモニタリング・ボードに移行(監督と執行を分離)することで、経営の透明性、内部統制の強化を図れている状態 取締役の女性比率 30%以上

当社は監査役制度のもと、取締役および執行役員の業務執行の監督強化を図っています。独立社外取締役が3分の1設置といった監査役制度の良さを活かしつつ、半数を独立社外監査役で構成する監査役会による監査を行っています。さらに取締役・執行役員の指名・報酬については、独立社外取締役が議長を務め、かつ独立社外取締役が過半数を占める役員指名報酬審議会での検討・審議を経て、取締役会に上程することで、独立性や客観性を高めています。
当社は、事業特性や現場の状況を踏まえた適時的確な経営判断を行うことに加え、その経営判断が多様なステークホルダーから支持され、期待に応えるものになっているかを常にチェックできる体制を構築することが重要であると考え、現体制を採用しています。

業務執行体制については、2022年4月に、経営の意思決定と業務執行のさらなるスピード・レベルアップを目指し、執行体制における意思決定階層の削減を行うために、副社長層の管掌分野を廃して本部長・センター長に権限移譲しました。さらに、重点経営課題について全社組織を横断して推進していく最高責任者であり、グループ全体を俯瞰した視点から社長を補佐する役割を担うCxOを、執行役員から選任して設置し、現在5名在任しています。
当社は、今後も引き続き企業価値向上に資するため、より実効性の高いコーポレートガバナンス体制を目指していきます。

コーポレートガバナンス体制の変遷

  2015~2018 2019~2020 2021 2022~2024
取締役 13-14人で推移 9人 8人
 うち独立
社外取締役
2-3人で推移 3人 3人
 うち女性 2016年より1人 1人 1人
独立社外取締役比率 14.3-23.1%で推移 33.3% 37.5%
監査役 5人 4人
 うち独立
社外監査役
2人 2人
 うち女性 0人 2人
独立社外監査役比率 40.0% 50.0%

会社法上の社外監査役は3人

主な取り組み

2014年6月 独立社外取締役を登用
2016年1月・3月 役員人事審議会、報酬審議会を設置
2022年4月 副社長層の管掌分野を廃止し本部長などへ権限移譲
2023年6月 役員指名報酬審議会の議長を独立社外取締役から選定
2024年11月 取締役会のオフサイトミーティングとしてガバナンス懇談会を設置

取締役会

取締役会は、独立社外取締役3名を含む8名の取締役で構成され、原則として毎月1回開催しています。取締役会では、グループ経営方針、利益計画・投資計画、資本政策および各事業戦略等の経営戦略、サステナビリティ、人的資本、コーポレートガバナンス等の経営基盤に関する重要事項に関して審議・決議しています。また、企業行動倫理委員会やリスクマネジメント委員会等の報告を受けることにより、取締役等の職務執行を監督しています。
2024年度は「取締役会の実効性評価」に記載の通り、経営戦略・事業戦略の議論と並行したサステナビリティ議論、執行側の会議体報告を受けた監督が強化されました。

2024年度取締役会の主な議題(決議事項・報告事項)

経営戦略 経営戦略・中長期事業戦略、グループ経営方針、利益計画・投資計画、株主構成の考え方
事業戦略・ポートフォリオ見直し 各地域・事業戦略、アライアンス、新規事業の進捗報告
サステナビリティ アイシングループ サステナビリティ憲章、マテリアリティ、気候変動、人的資本戦略、内部統制・コンプライアンス・リスクマネジメントの状況、取締役会の実効性評価結果と課題
その他 経営会議の審議事項の報告

また、2024年11月には、取締役会のオフサイトミーティングとしてガバナンス懇談会を設置しました。ガバナンス課題・方向性について社外を含む取締役がディスカッションし、取締役会のモニタリング機能やスキルマトリックスを活用したサクセッションプランの検討等を行っています。
このようなオフサイトミーティングを含め、取締役会の議論の幅は年々広がっています。

独立社外取締役への期待・役割

当社は、独立社外取締役が以下の役割・責務を果たすことを期待しています。

  • 経営陣から独立した立場で、取締役会などでの重要な意思決定の場において、リスクへの警鐘や助言を提供するとともに、経営陣幹部の指名・再任や報酬の審議を通して、当社の経営を監督する。
  • これまでの経歴で培われた専門的な知識・幅広い経験などを当社の経営に活かす。
  • 会社と経営陣・支配株主などとの間の利益相反を監督する。
  • 株主などさまざまなステークホルダーの声を取締役会に適切に反映する。

当社では、社外取締役・社外監査役が独立した客観的な立場から役割・責務を実効的に果たすことが当社経営において重要と考え、以下のような取り組みを行っています。

  • 取締役会において十分な審議時間を確保するため、取締役会付議基準を適宜見直し、審議事項を絞り込み
  • 取締役会で有意義な議論ができるよう、社外取締役・社外監査役に対し取締役会付議案件について役員などから個別に事前説明を実施し、社内重要会議での審議内容などを共有
  • 社外取締役・社外監査役による事業の理解促進や課題共有のため、就任に際しては、当社の事業内容の説明や主要拠点などの現場視察の機会を設定し、また毎年、取締役会の内外での当社の事業戦略や経営環境、事業上のリスクなどの説明、ディスカッション、工場やテストコースなどの現場視察や執行役員との懇談、経営課題と関連付けた経営課題勉強会などを実施
  • 社外取締役・社外監査役が必要とする情報を提供するため、社外取締役・社外監査役との連絡・調整にあたる特定のスタッフを総合企画部、監査役室などに配置

取締役会の実効性評価

当社は、取締役会の実効性向上のため、毎年、取締役会の実効性に関する分析・評価を実施しています。2024年度の実効性評価とその結果の概要は、以下の通りです。

(ⅰ)対象者:

すべての取締役(8名)および監査役(4名)

(ⅱ)評価手法:

(a)アンケートによる第三者評価
(b)アンケート結果をもとにしたインタビュー
(c)分析結果をもとに、取締役会において課題と今後の方策を討議

(ⅲ)評価項目:

取締役会の規模・構成、運営、社外役員へのサポート体制、役員指名報酬審議会の構成・運営、前年度評価で認識された課題に対する改善状況等

2023年度に認識された課題 2024年度の取り組み実績
取締役会の議論の充実 経営戦略・中長期事業戦略の議論と並行し、サステナビリティ課題(アイシングループ サステナビリティ憲章、マテリアリティ、気候変動、人的資本戦略)を議論
取締役会による監督機能の強化 企業行動倫理委員会、リスクマネジメント委員会等から取締役会への報告、内部監査結果報告を定例化
将来を見据えた当社のガバナンスの在り方の議論 オフサイトミーティングとして「ガバナンス懇談会」を立ち上げ、社外を含む取締役、監査役による議論を定例化、取締役会のモニタリング機能やスキルマトリックスを活用したサクセッションプランの検討などを通し、あるべき取締役会のイメージ解像度を上げている

取締役会に上程された議案は、前述「2024年度取締役会の主な議題(決議事項・報告事項)」にも記載の通りです。

【2024年度の全体評価】 年々実効性は向上している。時代とともに変化する取締役会の役割に対応するためにさらなるレベルアップを進める。

2024年度に認識された課題 アクションプラン
取締役会の議論の充実 2023年の「中長期事業戦略説明会」で公表した「2030年にめざす姿」実現に向けて経営戦略 × サステナビリティといった経営のめざす方向を多角的に議論
取締役会による監督機能の強化 各委員会からの報告においてグループ全体の内部統制・リスク対応の視点充実
必要な知識・スキルとサクセッションプランの連動 「2030年にめざす姿」実現に向けた取締役会議論を充実させるため、取締役に求めるスキルを見直し、見直したスキルに基づくサクセッションプランを検討、求めるスキルを有する取締役を指名するとともに、経営課題と関連付けた経営課題勉強会を企画

取締役・監査役の指名に関する方針と手続き

当社の取締役・監査役候補者の指名に関しては、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、的確・迅速・公正な意思決定と適切な経営の監督が行われるよう、業界の内外を問わず高度な専門性を有する人材を社外取締役として複数選任すること、またグループ経営を念頭に置き、国内外子会社での豊富な経験と幅広い見識を有する人材を取締役に選任することなどさまざまな方策を総合的に勘案し、知識・経験・能力のバランスが最適になるように検討しています。
当社の取締役会は、取締役会実効性評価結果に基づくアクションプランの一つとして、2023年9月「中長期事業戦略説明会」で公表した「2030年にめざす姿」実現に向け、事業ポートフォリオ変革とサステナビリティ経営をさらに推進・強化すべく、取締役に求めるスキルを見直し、そのスキルを有する取締役候補者8名の指名を行いました。
指名にあたっての手続きとしては、役員指名報酬審議会での検討・審議を経て、取締役・監査役候補者を選出し、取締役会に上程しています。取締役については取締役会での指名決議を踏まえ、株主総会で審議した上で決定しています。なお、監査役については監査役会の同意の後、取締役会での内定の決議を踏まえ、株主総会で審議した上で決定しています。

スキルマトリックスと会議体出席メンバー

◎議長 ○出席メンバー

氏名 企業経営 グローバル
ビジネス
サステナビリティ 環境・カーボン
ニュートラル
人的資本戦略 ガバナンス・
コンプライアンス・
リスクマネジメント
ものづくり
(技術・生産・品質)
バリューチェーン
(営業・調達)
財務・会計 取締役会 監査役会 役員指名
報酬審議会
取締役 吉田 守孝
伊藤 慎太郎
山本 義久
西川 昌宏
小林 耕士
社外
星野 次彦
社外 独立
廣田 康人
社外 独立
達脇 恵子
社外 独立
監査役 三矢 誠
加藤 清美
上田 純子
社外 独立
柏木 勝広
社外 独立
取締役会 8名
監査役会 4名
役員指名報酬審議会 5名
スキル項目 スキル選定の主旨
企業経営 戦略的意思決定と組織運営を行い、持続的な成長および企業価値を高めていくために、また長期の社会変化を洞察し、洞察した将来をバックキャストして事業の成長軌道を描くために、本スキルが必要と考えます
グローバルビジネス 海外マネジメント経験、または海外における事業環境などの知見を、事業領域のグローバルな持続的拡大に活かすために、本スキルが必要と考えます
サステナビリティ さまざまなステークホルダーとの対話から社会課題とニーズを先読みし、事業を通じた持続可能な社会への貢献と企業価値向上に資するサステナビリティを推進するために、本スキルが必要と考えます
環境・カーボンニュートラル カーボンニュートラルの実現に向けた製品面・生産面の取り組みを加速・推進するために、本スキルが必要と考えます
人的資本戦略 従業員一人ひとりのモチベーション・働きがいの向上に取り組むために、本スキルが必要と考えます
ガバナンス・コンプライアンス・リスクマネジメント 持続的な成長および企業価値向上に資する内部統制とガバナンス体制を強化するために、本スキルが必要と考えます
ものづくり(技術・生産・品質) ものづくり力に一層の磨きをかけ、市場競争力・効率性・生産性を高め、かつ新規事業の創出により成長領域へシフトするために、本スキルが必要と考えます
バリューチェーン(営業・調達) 取引先との相互信頼に基づく共存・共栄に向けた関係構築を進めるために、本スキルが必要と考えます
財務・会計 正確な財務報告体制および強固な財務基盤の下、持続的な成長および企業価値向上に向けた成長投資の推進と、適切な株主還元を実現するために、本スキルが必要と考えます

監査役

監査役の職責

株主の負託を受けた独立の機関として、取締役の職務執行を監査することにより、会社の健全で持続的な成長の確保と社会的な信頼に応える良質な企業統治体制の確立を目指します。また、取締役等に対し、助言または勧告等の意見を表明するなどの必要な措置を適時に講じ、独立の立場の保持に努め、常に公正不偏の態度を保持し、自らの信念に基づき、現地現物主義による監査を行います。

監査役、監査役会の活動

監査役会は、常勤監査役2名、独立社外監査役2名の4名で構成され、原則として毎月1回開催しています。各監査役は監査役会で策定された監査方針および監査計画に基づき、取締役会をはじめとする主要な会議への出席や、取締役・各部門からの聴取、国内外子会社への往査などを通じて、取締役の職務執行や当社および子会社の業務執行の適法性・妥当性や財務報告の信頼性について監査を行っています。また、監査役の直轄下に監査役室を設け、監査役の職務を補助する専任スタッフを配置しています。監査業務については、生成AIを活用した監査記録の作成支援やデータ分析・リスク検出への導入を進めて、監査の効率と精度向上に取り組んでいます。
内部統制の整備・運用状況については、内部統制部門(各機能部門)を中心に、あらかじめ策定した管理指標に基づいて監査を行っています。内部監査部門(監査部)とは毎月定例の意見交換を通じて情報共有を行い、必要に応じて監査の相互補完を行いながら、監査品質・実効性の向上に努めています。同様に、会計監査人とも定期的な情報交換を行うとともに、会計監査人の監査方法および監査結果の相当性確認を行っています。

監査役監査の体系図

監査役監査の体系図

監査役会の実効性評価

2024年度から監査役会の実効性評価を行っています。監査役会が自らの役割と責務を実効的に果たしているかどうかを評価し、その結果を認識し、課題に取り組むことで、監査役会の継続的な改善と実効性向上に努めています。全監査役に対する個別インタビューを実施し、監査役会の体制・運営状況、監査役会の監査・監督状況、内部統制部門・内部監査部門との連携、会計監査人との連携、代表取締役との協議や社外取締役との連携などの監査環境の整備状況、監査役の助言・提言に対する取締役や経営執行部門の理解や対応状況などについて、各監査役の意見を確認し評価を行いました。
結果については監査役会で議論し、実効的な監査が実施されていることを確認しています。今後も常勤監査役と社外監査役との連携をさらに強化し、監査役会の実効性をより一層向上させるよう努めていきます。

2024年度の主な活動実績

監査役会の開催 14回
取締役会その他主要会議への出席
(取締役会、経営会議、サステナビリティ会議など)
213回
役員・部門との懇談・聴取
(社長、取締役、CxO、執行役員、部門長など)
132回
国内外子会社への往査
(海外20社、国内8社)
28社
海外子会社往査
海外子会社往査

アイシングループの監査の連携状況

アイシングループは、国内72社、海外120社という多くの企業で構成されています。グループ全体の網羅的な監査体制を構築するため、規模の大きな子会社には常勤監査役を設置し、その他の子会社には親会社の役員や従業員を非常勤監査役として設置しています。

図:アイシングループの監査の連携状況

2024年度のアイシングループ監査の連携

1子会社常勤監査役との連携アイシングループ監査役連絡会を月1回開催し、各社の監査活動報告や各種情報共有を行っています。加えて、各社から親会社監査役への監査活動報告を年2回実施しています。また、「アイシングループ監査役ガイド」を作成し、グループ全体での監査活動の標準化と実効性向上を図っています。

監査役連絡会
開催回数
12

2子会社非常勤監査役との連携新任非常勤監査役に対して監査役業務に関する説明会や、各社の非常勤監査役から親会社監査役への監査活動報告を実施しています。

監査活動報告
19

3内部監査部門との連携子会社監査・J-SOX監査・テーマ監査などの監査状況を月1回定例で共有し意見交換を行うとともに、必要に応じて報告の場を設定し密な連携を図っています。また、監査役会では監査計画や状況の報告を受けています。

実施回数
27

4会計監査人との連携四半期ごとの監査結果や子会社往査の結果などについて定期的に報告を受け、意見交換を実施し、年2回監査役会にて監査計画や状況の報告を受けています。会計監査人の評価については、子会社を含めた監査役および経理部がチェックシートを用いて実施し、その結果を会計監査人にフィードバックしています。

実施回数
27

常勤監査役・社外監査役・社外取締役の連携

常勤監査役、社外監査役および社外取締役がそれぞれの特性を活かし、役割・責務を十分に果たせるよう、相互に密な情報共有と意見交換を行っています。具体的には、監査役と社外取締役による意見交換会を年2回開催し、監査役の月度監査報告書を毎月共有しています。また、2023年度に引き続き2024年度も監査役と社外取締役による子会社合同往査を実施し、現地・現物を通じて各立場や持っている知見から意見を出し合い、事業理解の深化に努めています。
一方で、相互の連携を強めるだけではなく、「監査役は社外取締役が適切に業務執行を行っているか」、「社外取締役は監査役が適切に監査業務を遂行しているか」を相互に確認・牽制し合うことで、アイシングループ全体のコーポレートガバナンスのさらなる向上につなげています。

国内子会社合同往査
国内子会社合同往査

環境変化を踏まえた重点リスク対応の確認

近年、コーポレートガバナンスコードやサステナビリティ、ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みなど、ステークホルダーが企業に求める期待は大きく変化しています。従来は財務情報が最も重要な開示項目とされていましたが、現在では気候変動や人的資本などの非財務情報も財務情報と同等に重要視されています。監査役としては、これらを企業価値向上に向けた極めて重要な事項と捉え、自社の取り組みを重点的かつ綿密に確認しています。取締役や関連部門との面談、サステナビリティ会議やリスクマネジメント委員会などへの出席を通して、「高度化するサステナビリティ開示要請への対応」「自社の成長戦略とマテリアリティの連動状況」 「サステナビリティ対応に掛かる投資コストの可視化と企業価値向上とのつながり」など、監査役の立場から見えてきた課題や懸念については、積極的に問題提起や提言、改善要請を行っています。

役員報酬

役員報酬の基本的な考え方

当社の役員報酬制度は、以下の考え方に基づいて設計しています。

  • 当社グループの経営理念および経営方針の実現に向けた取り組みの動機付けとなる報酬内容とする。
  • 各々の役員が担う職責・成果などを反映する。
  • 当社グループの経営環境や短期・中長期の業績状況を反映し、企業価値の向上や株主と同じ目線に立った経営の推進につながる報酬体系とする。

役員報酬構成

取締役(社外取締役を除く)の報酬は、業務執行を担う役割のため、固定報酬である月額報酬、業績に連動する賞与および株式報酬の報酬構成としています。具体的には、月額報酬:賞与:株式報酬の割合が取締役の基準額で概ね25%:25%:50%程度、役位により業績連動報酬が占める割合が高くなるように設定しています。なお、社外取締役および監査役の報酬は、独立した立場で経営に対する監督や助言あるいは業務執行を監査する役割を担うことから月額報酬のみとし、賞与および株式報酬の支給はありません。

取締役(社外取締役を除く)の報酬構成イメージ

取締役(社外取締役を除く)の報酬構成イメージ

報酬などの種類別の方針

固定報酬
(月額報酬)

  • 取締役については職責および成果を、監査役については職責を反映させた報酬としています。
  • 月額報酬は在任期間中、毎月定期的に支給します。

業績連動報酬
(賞与・株式報酬)

  • 会社業績との連動性の確保および中長期的な企業価値向上に対する意欲喚起のため、連結営業利益およびサステナビリティKPIを算定指標として決定します。
  • 各指標の評価ウエイトおよび評価方法は以下の通りであり、評価結果に応じ業績連動報酬の支給率が0~150%の範囲内で変動します。
    指標 評価ウエイト 評価方法
    連結営業利益 90% 当社の持続的成長に向けて設定した基準利益に対する各事業年度の達成度で評価
    サステナビリティ
    KPI
    10% 当社グループが定める「社会」や「従業員」に広く関係する主要KPIより算定指標を選定し、各事業年度の目標に対する達成度で評価

    2024年度の選定指標:「生産CO2排出量 削減率」・「働きがい」(各5%)

  • 個人別の支給額は、各事業年度の会社業績に加え、各役員の業務遂行の状況を踏まえて決定しています。
  • 業績連動報酬については、各事業年度の定時株主総会後、毎年1回支給します。
  • また、株主とのさらなる価値共有を進め、企業価値の持続的な向上を図るためのインセンティブとして、譲渡制限付株式報酬を支給しています。
    制度詳細については、有価証券報告書 P.61を参照ください。

役員報酬水準

取締役の役職別総報酬については、水準の客観性や妥当性検証のため、毎年、外部調査機関の役員報酬調査における当社と規模、業種や業態などの類似する製造業の水準を参考にして決定します。

役員報酬などの決定方法

当社は、取締役の報酬などの額やその制度の決定に関する 客観性および透明性の確保のため、独立社外取締役が議長を務め、かつ独立社外取締役が過半数を占める役員指名報酬審議会を設置しています。
取締役会は、取締役の個人別の報酬などの決定方針および当事業年度の報酬総額を決議するとともに、個人別報酬額の決定を役員指名報酬審議会に一任することを決議しています。
役員指名報酬審議会は、役員報酬制度の検討および取締役会で定められた取締役の個人別の報酬などの決定方針に基づき、会社業績や職責、成果などを踏まえた個人別報酬額を決定しています。
また、各監査役の月額報酬額は、株主総会の決議によって定められた報酬の範囲内において、監査役の協議により決定しています。

取締役および監査役の報酬などの額

役員区分 報酬等の総額
(百万円)
報酬等の種類別の総額(百万円) 対象となる
役員の員数
(人)
固定報酬 業績連動報酬
月額報酬 賞与 株式報酬
取締役 559 251 132 176 9
(うち社外取締役) (57) (57) (-) (-) (4)
監査役 116 116 4
(うち社外監査役) (24) (24) (-) (-) (2)
675 367 132 176 13

上記には、2024年6月19日開催の第101回定時株主総会終結のときをもって退任した取締役1名(社外取締役を含まず)を含んでいます。

業績連動報酬は、2025年5月19日開催の取締役会決議の金額を記載しています。

取締役の月額報酬および賞与の報酬総額は、2019年6月18日開催の第96回定時株主総会で年額6億円以内(うち社外取締役分年額75百万円以内)、株式報酬は、2024年6月19日開催の第101回定時株主総会で年額5億円以内と決議されています。

監査役の月額報酬は、2010年6月23日開催の第87回定時株主総会で月額15百万円以内と決議されています。

役員一覧

役職 氏名 選任理由 取締役会出席回数 監査役会出席回数
取締役社長 吉田 守孝 トヨタ自動車株式会社において、副社長としてMSVカンパニーPresident、クルマ開発センターセンター長などを歴任、株式会社豊田中央研究所における経営経験を有する。また、当社においては2021年より取締役社長を務めており、経営全般にわたる豊富な経験と幅広い見識を有している。 12回/12回
(100.0%)
-
取締役 伊藤 慎太郎 当社において経営管理部門を中心に従事し、また海外統括法人トップとしての経営経験を有する。2021年より取締役・副社長執行役員、現在は取締役・執行役員、Chief Administrative Officerならびに副社長を務めており、経営全般にわたる豊富な経験と幅広い見識を有している。 12回/12回
(100.0%)
-
取締役 山本 義久 当社においてパワートレインの技術開発部門を中心に従事し、2021年より副社長執行役員、現在は取締役・執行役員ならびにChief Technology Strategy Officerを務めており、経営全般および技術開発戦略推進に関する豊富な経験と幅広い見識を有している。 12回/12回
(100.0%)
-
取締役 西川 昌宏 当社において車体商品の生産技術部門を中心に従事し、2019年より執行役員、現在は取締役・執行役員ならびにChief Carbon Neutral Officerを務めており、経営全般および国内外のものづくりに関する豊富な経験と幅広い見識を有している。 10回/10回
(100.0%)
-
取締役
社外
小林 耕士 トヨタ自動車株式会社など自動車業界において長年にわたり経営に携わっており、経営者としての豊富な経験と幅広い見識を有している。 10回/12回
(83.3%)
-
取締役
社外 独立
星野 次彦 財務省主税局長、国税庁長官などを歴任、その経歴を通じて培われた財政・金融および法務・コンプライアンスに関する高い専門性に加え、在外公館における公務および他業種企業における社外取締役としての監督など豊富な経験と幅広い見識を有している。 12回/12回
(100.0%)
-
取締役
新任 社外 独立
廣田 康人 三菱商事株式会社および株式会社アシックスにおいて長年にわたり経営に携わっており、その経歴を通じ、特に事業戦略に関する高い専門性に加え、経営全般に関する豊富な経験と広い見識を有している。 - -
取締役
新任 社外 独立
達脇 恵子 株式会社リクルートを経て、デロイトトーマツにおいて長年にわたりESG、CSR、内部統制などに関するコンサルティングに従事し、その経歴を通じ、特にガバナンス、リスクマネジメント、サステナビリティの分野で高い専門性を有し、加えて企業経営や社外役員としての監査など豊富な経験と広い見識を有している。 - -
常勤監査役 三矢 誠 当社において経営管理部門を中心に従事し、取締役・副社長執行役員を務めるなど、財務および会計に関する知見、経営者としての豊富な経験と幅広い見識を有している。 12回/12回
(100.0%)
14回/14回
(100.0%)
常勤監査役 加藤 清美 当社において経理・監査分野を中心に従事し、特に会社法、財務および会計に精通しており、その経歴を通じて培われた豊富な経験と幅広い見識を有している。 12回/12回
(100.0%)
14回/14回
(100.0%)
監査役
社外 独立
上田 純子 愛知大学大学院法務研究科教授および他社社外役員などを歴任、その経歴を通じて培われた会社法に関する高い専門性に加え、コーポレートガバナンスに関する豊富な経験と幅広い見識を有している。 12回/12回
(100.0%)
14回/14回
(100.0%)
監査役
社外 独立
柏木 勝広 長年にわたり公認会計士として従事し、企業会計および監査に関する豊富な経験と高い専門性に加え、企業経営に関し幅広い見識を有している。 12回/12回
(100.0%)
14回/14回
(100.0%)

保有株式

政策保有株式の保有に関する基本方針

当社は、資本効率の向上や資産圧縮、ガバナンス向上などの観点から、株式保有が企業価値向上に必要不可欠と認められる場合を除き、政策保有株式を原則保有しない方針です。現状の激しい競争を勝ち抜き、持続的な成長を続けていくためには、株式保有を通じた共同技術開発や事業提携を推進する必要性を認識しています。一方、株式保有がなければ事業上の関係を維持できないのかという観点で保有の意義を検証し、株式保有が企業価値向上に必要不可欠と認められる場合にのみ、政策保有株式を保有する方針としています。

保有適否の検証方法

当社は、保有している政策保有株式について、株式保有がなければ、事業上の関係を維持・拡大できないのかという観点から保有意義の検証を行い、その内容、縮減実績および今後の縮減方針について、毎期の取締役会で検証しています。

議決権行使の基準

当社は、議決権の行使は、定型的・短期的な基準で画一的に賛否を判断するのではなく、当該投資先企業の経営方針・戦略などを十分尊重した上で、中長期的な視点での企業価値および株主還元の維持・向上につながるかどうかなどの視点に立って判断を行います。議決権行使にあたっては、投資先企業において当該企業の発展と株主の利益を重視した経営が行われているかなどに着目し、議案ごとに確認を行います。また、社内ルールに基づき個別に精査した上で、当該企業との対話などの結果を勘案し、議案への賛否を判断します。

保有株式縮減の取り組み

保有株式について、保有が企業価値向上に必要不可欠でないと判断した場合には、取引先各社との対話を通じて縮減を進めています。当事業年度において、上場株式12銘柄のうち3銘柄の売却(部分売却を含む)を行いました。

図:議決権行使の基準

保有株式の状況(当事業年度末)

銘柄
貸借対照表計上額
(2025年3月31日)
2024年度に株式数が
増加した銘柄
2024年度に株式数が
減少した銘柄
非上場株式 51銘柄
18,072百万円
2銘柄
256百万円
1銘柄
6百万円
上場株式 10銘柄
96,738百万円
3銘柄
3,839百万円