基本的な考え方・方針

アイシンは、「“移動”に感動を、未来に笑顔を。」を基本とした経営理念の実現に向け、人と地球の未来にわたる調和をはかり、環境・社会課題の解決に取り組みます。これまで培ってきた自動車関連から建設・緑化、エネルギー分野に至るまでの幅広い製品群と、優れた技術力・サービスを活かし、地球環境の課題解決に貢献することで、未来地球に笑顔を運び続けたいと考えています。その実現に向け、従業員一人ひとりが気候変動や資源枯渇などの環境問題に真摯に向き合い、持続可能な環境を未来へつなぎます。そして、自然と調和し、誰もが安心して暮らせる社会の実現を目指しています。

自然との共生、持続可能な未来への貢献を実現する資源循環システム

“自然との共生、持続可能な未来への貢献”を実現する資源循環システム”

推進体制

環境全般に関する基本方針の審議、業務執行の適正化及び進捗管理を行う「環境委員会」と、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー及び自然共生に関する戦略の検討・推進を行う「CN・CE推進会議」を設置しています。両会議は、カーボンニュートラル・環境推進センター長を議長として、それぞれ年2回開催しており、サステナビリティ会議で決定された方針に基づき、各役割に応じて審議及び検討を行っています。環境委員会において議論された重要な案件については、取締役会に付議・報告し、必要に応じて事業戦略や事業計画へ反映しています。

環境委員会

開催頻度 原則2回/年
議長 カーボンニュートラル・環境推進センター長
事務局 CN環境推進部
参加者 社長執行役員、執行役員、センター長/本部長、主要グループ会社社長 他
主な議題
  • 環境全般に関する基本方針の審議・展開
  • 環境全般に関する業務執行の適正化と進捗管理

CN・CE推進会議

開催頻度 原則2回/年
議長 カーボンニュートラル・環境推進センター長
事務局 CN環境推進部
参加者 センター長/本部長、主要グループ会社担当役員 他
主な議題 カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、自然共生に対する戦略検討・推進

戦略

環境への取り組みとして、1993年より「アイシン連結環境取組プラン」を制定し、5ヵ年の行動計画に基づき、活動を進めています。
2026年度からは、将来のあるべき姿から評価範囲、レベル、項目を改めて定義し、カーボンニュートラル・サーキュラーエコノミー・自然共生・基盤の4つの分野にて、2030年度に向けたよりチャレンジングな「アイシン環境取組プラン2030」を新たに策定しました。特に、サステナビリティ経営に直結するカーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーは、マテリアリティKGIと位置づけ、従業員一人ひとりが考え行動することを目指し、アイシングループ一丸となって活動を進めていきます。

関連するマテリアリティ

マテリアリティ 目標(KGI) 指標(KPI) 2025年度実績 2030年度
目標値
優先課題 実現に向けた
方向性
自然との共生、
持続可能な
未来への貢献
バリューチェーン全体での
環境負荷低減
[カーボンニュートラル]
2050年 CN達成
2035年 生産CO2 CN達成
Scope1、2
排出量
(2019年度比)
174万t-CO2e
(▲37.4%)
▲46.2%
Scope3
排出量
(2019年度比)
2,235万t-CO2e
(▲3.8%)
▲27.5%
[サーキュラーエコノミー]
2040年 ゼロエミ工場達成
(埋立廃棄物1%以下)
資源の有効活用 ―※1 10%効率化※2
廃棄物最小化
廃棄物排出量
(2019年度比)
―※1 ▲11%

資源の有効活用:不要物排出量の低減率と不要物を資源としてグループ内で循環させる量の増加率との合計

2026年度より実績評価開始

アイシン環境取組プラン2030

分野 指標(KPI) 取り組み内容
カーボン
ニュートラル
Scope1、2排出量:
2019年度比▲46.2%
  • 動力源・熱源・無駄レスに着目したエネルギー削減とエネルギー置換・循環技術確立
    • 設備の高効率化・運転最適化、ムダ・ロス徹底排除による省エネ
    • クリーンエネルギー技術(バイオ成型炭、ペロブスカイト太陽電池、CO2利活用など)の実証と導入見極め
    • 再生可能エネルギー導入促進
Scope3排出量:
2019年度比▲27.5%
  • 重点カテゴリへの取り組みを通じたバリューチェーン全体における排出量削減
    • 電動化商品の拡充と製品性能向上(高効率、小型・軽量化など)
    • 低CO2材(リサイクル材、グリーンアルミなど)の採用促進
    • 現地・現物での好事例共有を通じた、サプライヤーへのカーボンニュートラル活動支援
    • サプライヤー・輸送業者と連携した積載効率向上や物流ルート最適化
サーキュラー
エコノミー
資源投入量の最小化
資源有効活用:10%効率化
  • 自工程・自工場での使い切りを基本とした資源有効活用
    • 歩留まり向上の追求(取り代最小化、不良率低減など)
    • 素形材事業を活かしたアイシングループ内資源循環の促進
    • 市場回収を踏まえたリユース・リサイクルの促進
廃棄物の最小化
廃棄物排出量:
2019年度比▲11%
  • 廃棄物の価値向上による排出量最小化
    • 分解・分別による有価化・再資源化の促進
    • 埋立処分脱却に向けた高度処理技術の確立
    • 国、地域の事情に合わせた方針設定と活動への落とし込み
自然共生 水資源の循環・保全を軸とした
生物多様性保全の推進
①水使用量の最小化 ②森林保全活動による気候変動緩和への貢献
植樹本数:累計80万本
③地域と連携した活動の継続実施
  • 水使用量最小化
    • 生産設備、ユーティリティ設備のムダ・ロス排除による使用量の削減
    • 循環技術の導入促進
  • 地域の生物多様性保全の推進
    • グローバルでの植樹、植林、森林・里山整備など
    • 自社敷地内・周辺水域における生物多様性保全活動
基盤 環境重大事故件数:0件
  • 環境マネジメント強化によるサプライチェーン全体での環境事故未然防止活動の強化
    • アイシングループ統一標準の展開・定着による潜在リスク抽出と改善徹底
    • ISO14001統一認証導入による環境人材の力量向上
    • 各国、各地域の法規制動向を踏まえた化学物質管理徹底

主な取り組み

カーボンニュートラルに向けた取り組み

「生産」と「製品」の両軸で2050年カーボンニュートラルの実現を目指しています。生産面では、徹底した省エネ活動や革新的な生産技術の開発により、エネルギー使用量削減や再生可能エネルギーなどのクリーンエネルギーへの切替を実施します。製品面では、電動車向け製品のさらなる進化、エネルギーと資源の循環システムの普及を進め、モビリティとエネルギー技術の融合による新価値創出を目指します。

Scope1、2

アイシンは、2035年生産CO2カーボンニュートラルを目標としています。Scope1、2排出量の削減は、環境負荷の低減に加え、エネルギー費用の低減を通じた企業体質の強化につながることから、徹底した省エネ活動や革新的な生産技術の導入によるエネルギー使用量の削減を推進しています。その上で、削減しきれないCO2排出量については、太陽光発電や風力発電の導入などを通じて再生可能エネルギーへの切替を順次進め、Scope2排出量の削減をはかっています。さらに、Scope1排出量については、非電力エネルギーの電化を推進するとともに、クリーンエネルギー技術(バイオ成型炭、CO2利活用など)の開発や、新エネルギー(e-メタン※など)への燃料転換を進めることで、さらなるCO2排出量の削減を目指します。2025年度の削減率は2019年度比37.4%であり、2030年目標に向けて順調に推移しています。

e-メタン:再生可能エネルギー由来などの水素とCO2を合成したもの。回収したCO2を原料とすることで、燃焼しても大気中のCO2は実質的に増加しない

Scope1、2削減シナリオ

Scope1、2削減シナリオ

設備の高効率化・運転最適化、ムダ・ロス徹底排除による省エネ

アイシンは、不良率の低減や出来高向上などの生産性向上と徹底した省エネを一体的に推進しています。「ヤメル」「トメル」「ヒロウ」「カエル」「ナオス」「サゲル」の省エネ6則を基本とした活動に加え、製品1個の製造に伴うエネルギー使用量にも着目し、徹底的なムダ・ロス排除を進めてきました。また、カーボンニュートラルの基礎を学べる「CNベースキャンプ」や「CNキャラバン」を通じて、省エネを自律的に実践できる人材の育成や意識醸成にも取り組んできました。2025年度は、ムダ・ロス排除を継続するとともに、国内で培ってきた改善活動をグローバルへ展開することを重点に推進してきました。今後は、アイシングループ間で相互に現地・現物・現認を行いながら改善事例や課題について意見交換し、さらなる省エネアイテムの積上げにつなげていきます。

2025年度の主な事例

エア使用量改善やITを活用した省エネ活動(アイシン)

エアブロー時間短縮、エア使用量の最適化により、ライン全体のCO2排出量を年間約112t-CO2削減しました。また、ITの活用により、製品の有無を識別することで洗浄機の運転最適化を行い、年間約73t-CO2削減しました。これらの取り組みは、一般財団法人省エネルギーセンターが主催する「2025年度省エネ大賞」の省エネ事例部門において、「省エネルギーセンター会長賞」をそれぞれ受賞しました。

工法別小集団活動による省エネアイテム発掘と横展活動(アイシン)

従来の工場単位の省エネ活動から一歩進め、全拠点を横断する「工法軸」の小集団活動(製造工法ごとに編成した少人数チームの活動)を実施しました。各工場の工法専門家が集まり議論することで、新たな省エネアイテムの発掘と、製造工法ごとに関係部門が参加する検討組織である工法部会を通じた全拠点への横展開の加速をはかりました。本取り組みにおいても、一般財団法人省エネルギーセンターが主催する「2025年度省エネ大賞」の省エネ事例部門において、「省エネルギーセンター会長賞」を受賞しました。

省エネ大賞受賞
省エネ大賞受賞

廃却資材の蓄熱効果活用(アート金属工業)

アート金属工業は、CO2排出量の多いアルミ溶湯保持炉において、廃アルミナを活用することでCO2排出量を削減しました。アルミナの蓄熱効果が廃アルミナにおいても維持されることを確認したうえで、保持炉内への敷設を行い、炉内温度の低下を抑制し、LPG使用量の削減を実現しました。また、アイシングループで従来廃棄していたアルミナを有効活用することで、購入コストの削減にも寄与しています。

保持炉の炉床
保持炉の炉床

革新的洗浄剤の共同開発(アイシン)

アイシンのトランスミッション製造全体のうち、CO2排出量が多い洗浄工程において、花王株式会社とアイシンは、「常温で洗浄できる高い洗浄力」、「熱風が不要な高い乾燥性」、「防錆処理不要な高い防錆効果」の3つの機能を兼ね揃えた「常温防錆洗浄剤」を共同開発しました。その結果、洗浄機1台当たり73%のCO2排出量削減及び防錆資材の削減が可能となりました。また、洗浄液の使用期間を3倍以上延長することで、水資源の使用量を3分の1以下に抑え、排水処理の負荷も軽減しています。本取り組みは、国立研究開発法人国立環境研究所と株式会社日刊工業新聞社が主催する第52回「環境賞」において「環境大臣賞」を受賞しており、海外拠点及びアイシングループ各社へ展開しています。

再生可能エネルギー導入促進

アイシンは、Scope2排出量の削減に向けて、省エネの徹底を前提に再生可能エネルギーへの切替を段階的に進めています。2025年度までに国内外すべての設置可能な拠点への太陽光発電導入を目標とし、概ね完了しました。特に欧州においては、エネルギー事情や特性を考慮し、再生可能エネルギーの導入を先行して進めてきました。今後も、地域性等を踏まえながら、多様な手段で再生可能エネルギーの導入を進めていきます。

2025年度の主な事例

遊休地を活用した地産地消型太陽光発電オフサイトPPAの導入(アイシン軽金属)

アイシン軽金属は、アイシングループ国内初となる遊休地を活用した地産地消型太陽光発電オフサイトPPA※を導入し、Scope2排出量削減に寄与しています。同社本社工場では、太陽光発電オンサイトPPAを2023年から段階的に導入しており、今回の導入により、再生可能エネルギー設備容量は約7MWとなります。年間約7.4GWhの再生可能エネルギーを使用し、CO2排出量を約3,700t-CO2削減しています。

PPA:Power Purchase Agreement、電力を購入する個別契約

再生可能エネルギー導入率100%達成(アイシン東北)

アイシン東北は、2026年4月に電力小売事業者である一般社団法人東北自動車産業グリーンエネルギー普及協会(以下TAGA)との電力需給契約を締結しました。これにより、再生可能エネルギーの供給が開始され、同社の事業活動における電力使用は、再生可能エネルギー100%となりました。同社は、TAGAを通して、岩手県企業局から供給される再生可能エネルギーを「利用」し、太陽光発電による余剰電力を東北の自動車関連企業へ「供給」しており、地域循環型経済の構築に貢献しています。今後、余剰電力の販売で得た資金を地域社会課題(生物多様性、藻場再生活動など)の取り組みに活用していきます。

欧州地域の全生産拠点で再生可能エネルギー導入率100%達成

欧州地域では、アイシンの目標に先駆けて、2040年の「カーボンニュートラル」を長期的な目標として掲げています。その一歩として、「欧州全生産拠点での再生可能エネルギー導入率100%」に向け、太陽光発電や風力発電を導入するなど再生可能エネルギーへの切替を進めてきました。2025年4月に欧州地域生産子会社でトルコに拠点を置くAISIN OTOMOTIV PARCALARI SANAYI VE TICARET A.S.(イスタンブール市)は、トルコ国内に太陽光発電施設を建設しました。この施設での発電開始により、トルコを含む欧州地域の全生産拠点で再生可能エネルギー導入率が100%となりました。

AISIN TURKIYE SOLAR POWER PLANT
AISIN TURKIYE SOLAR POWER PLANT

クリーンエネルギー技術(バイオ成型炭、ペロブスカイト太陽電池、CO2利活用など)の実証と
導入見極め

アイシンは、Scope1排出量の削減において、省エネや設備の電化に加え、クリーンエネルギー技術の開発や新エネルギーへの燃料転換を推進しています。具体的には、バイオ成型炭、ペロブスカイト太陽電池、CO2利活用などの技術について、将来の事業化や導入を見据えた開発・実証を段階的に進めています。さらに、これらの技術の事業化を通じて社会への普及をはかり、社会全体のCO2排出量削減への貢献を目指しています。

2025年度の主な事例

バイオ成型炭の量産開始(アイシン高丘)

アイシン高丘は、鉄の溶解工程(キュポラ炉)に使用される石炭コークスから全量代替可能となるバイオ成型炭「Bio-M-Coke®」を開発しました。これまで、同社の生産ラインにて、全量バイオ成型炭へ置換する実証実験を実施し、安定操業が可能であることを確認しました。今後、2030年までに同社で使用するすべての燃料をバイオ成型炭へ置き換える計画です。並行して、国内鋳造会社にて社外実証実験を進めています。また、生産・販売を目的とした合弁会社 ATP Bio Indonesia(インドネシア)を設立し、2026年4月より販売を開始しています。同社のみならず、キュポラ炉保有会社での使用を予定しており、業界全体のCO2排出量削減への貢献を目指しています。

PT. ATP Bio Indonesia
PT. ATP Bio Indonesia
バイオ成型炭「Bio-M-Coke®」
バイオ成型炭「Bio-M-Coke®」

官民と連携したペロブスカイト太陽電池実証実験を開始(アイシン)

Scope2排出量の削減及び、アイシンのエネルギーバリューチェーン事業の拡大に向け、ペロブスカイト太陽電池の実証を開始し、実証規模を拡大しています。ペロブスカイト太陽電池は、従来の太陽電池と比較して、軽量・柔軟・薄型といった特長を持ちます。そのため、建物の壁面や耐荷重に制限がある屋根など、シリコン太陽電池では設置が難しい場所にも適用できます。アイシンは、ペロブスカイト太陽電池の早期実用化に向けて、官民と連携して実証実験を進めていきます。

ペロブスカイト太陽電池
ペロブスカイト太陽電池

国内初、「地域CO2循環型e-メタン供給」の共同実証を開始(アイシン)

東邦ガス株式会社、株式会社デンソーとともに、国内初となる「地域CO2循環型e-メタン供給」(以下「地域CO2循環」)の共同実証を開始しました。地域CO2循環は、CO2の排出者と、その排出したCO2を原料に製造されたe-メタンの利用者が同一であることが特徴です。CO2が地域内で循環することでトレーサビリティが明確になりやすく、e-メタンを「利用時にCO2排出ゼロと評価できるエネルギー」として、EU圏などを含む海外の制度・ルールの中でも早い段階から評価・活用に向けた訴求が可能であり、e-メタンの環境価値の早期確保が期待できます。

CO2分離・回収技術の実証規模拡大(アイシン)

アイシンは、西尾ダイカスト工場において溶解炉1台から排出されるCO2の全量(3t-CO2/日)を対象に、分離・回収する小型・高効率な装置を開発し実証実験を開始しました。このシステムは2023年より評価を開始しており、今回の実証は、実証規模の拡大による性能の検証になります。溶解炉で発生したCO2を「吸収塔」で吸収液に取り込み、その後「放散塔」においてCO2を取り出すことで高純度のCO2として回収しています。回収したCO2は、メタン燃料やコンクリート原料等に利活用することで、資源循環を実現していきます。本装置は、小型化及び溶解炉の排熱をCO2回収に必要な熱源として有効活用する熱回収システムを併設することで装置の稼働に必要なエネルギーの低減を実現しています。

Scope3

Scope3排出量は、アイシンのCO2排出量全体の約9割を占めていることから、2050年カーボンニュートラルに向けて、その削減が不可欠です。資源採掘から廃棄に至るまでのライフサイクル全体のうち、排出量の多いカテゴリ1、4、11、12に重点を置いて削減活動を進めています。具体的には、製品性能向上における使用段階でのCO2排出量削減に加え、低CO2材の採用促進やサプライヤーへのカーボンニュートラル活動支援、サプライヤー・輸送業者と連携した積載率向上やルートの最適化をはかるなど、サプライチェーン全体での活動に取り組んでいます。これらを通じて、環境負荷の低減とともに、企業の競争力強化につなげていきます。

電動化商品の拡充と製品性能向上(高効率、小型・軽量化など)

高効率かつ小型化を追求した電動ユニットや回生協調ブレーキ、熱マネジメントシステム、空力デバイスなど幅広い製品をラインアップし、市場投入を進めています。また、エネルギーバリューチェーン事業の推進により、社会全体のCO2排出量削減に貢献しています。

eAxle(イーアクスル)
eAxle(イーアクスル)
エネファーム
エネファーム

加えて、製品競争力強化及びサプライチェーン全体(Scope3)のCO2排出量の削減に向け、開発初期段階から取り組んでいます。その一環として、製品設計にライフサイクルアセスメント※を導入しています。社内の算定ガイドラインに基づいた計算ツールを活用し、製品ごとの環境負荷を定量的に評価しています。また、教育を通じて従業員の理解と算定スキルの向上をはかっています。開発初期から低CO2材料の採用や製品の小型・軽量化を検討することで、製品ライフサイクル全体のCO2排出量削減を推進しています。これらの取り組みが評価され、2025年3月に中国自動車技術研究センター(CATARC)より低炭素サプライヤー評価の最高ランクを取得しました。

ライフサイクルアセスメント:製品やサービスのライフサイクル全体における環境負荷の定量的な評価

現地・現物での好事例共有を通じた、サプライヤーへのCN活動支援

Scope3排出量の約40%が原材料・部品に起因しており、その削減にはサプライヤーとの連携が不可欠です。アイシンは「誰一人取り残さない」をスローガンに、①カーボンニュートラルの基礎や他社の取り組み事例を学ぶ「CNオープンキャンパス」、②アイシンの工場とサプライヤー同士が相互に研鑽する「業種別ワーキング」、③学んだ内容を現場で実践する「CN活動支援」の3つを柱とし、継続的に活動を推進しています。今後は、地域ごとのサプライヤーとの関係性などの特性を踏まえた支援活動をグローバルに拡大し、サプライチェーン全体でのCO2排出量削減を目指します。

2025年度の主な事例

CNワークショップ共同開催(アイシン)

自動車産業は裾野の広いサプライチェーンを有しており、関係するサプライヤー数も膨大であることから、完成車メーカーと部品メーカーが連携してカーボンニュートラル活動を展開していくことが重要です。そのため、トヨタ自動車株式会社、株式会社三五、アイシン、トヨタ紡織株式会社(参加順)の4社で、サプライチェーン全体へのカーボンニュートラル活動の展開に向けた検討を進めてきました。その一環として、3社共同(トヨタ自動車株式会社協賛)によるCNワークショップを開催し、サプライヤー77社及び行政機関3機関から約140名が参加しました。本ワークショップでは、各社がCN活動における課題や優先的に取り組むべき事項を共有・認識する機会を提供し、サプライチェーン全体での活動促進をはかりました。また、経営層の参加を通じて、カーボンニュートラル活動への理解促進と当事者意識の醸成にもつなげています。

海外拠点でサプライヤー12社に支援活動を実施(AISIN ASIA PACIFIC)

AISIN ASIA PACIFIC(タイ)は、同社への販売比率の高いサプライヤー12社を対象に、アイシンのグループ会社と共同でサプライヤーのCO2排出量削減活動を推進しています。各社の課題に応じた支援方法を検討し、各社の見学や教育支援を開始しており、この活動をサプライチェーン全体へ拡張していきます。

サーキュラーエコノミーに向けた取り組み

資源循環は、限りある資源の効率的な利用と廃棄物削減による環境負荷低減に加え、原材料調達や廃棄物処理に係るコスト削減を通じて、企業体質の向上に寄与します。そのため、2040年ゼロエミ工場の実現に向けて、資源の有効活用、廃棄物の最小化などの活動を推進しています。原材料や副資材、生産設備、金型、治具、梱包資材等の企業活動に関わるあらゆる資源を対象に、分解・分別や環境配慮設計(エコデザイン)の推進を通じて、リサイクル可能な状態へと転換し、再資源化を進めていきます。さらに、自社単独での対応には限界があるため、産官学連携やトヨタグループ内のタスクフォースへの参画を通じて、リサイクル材の採用促進を行っています。これらの取り組みは、Scope3のみならずScope1、2排出量の削減にも寄与しており、カーボンニュートラル実現に向けた重要な施策の一つとして推進しています。

資源循環図

資源循環図

自工程・自工場での使い切りを基本とした資源有効活用

サーキュラーエコノミーの実現に向け、「自工程・自工場での使い切り」を基本方針として、設計から生産に至るまで一貫した資源有効活用に取り組んでいます。設計段階では、端材や不要物の発生を抑制する開発に加え、材料使用量低減に向けた製品の小型・軽量化や、リユースしやすい解体性を考慮した製品設計を推進しています。生産段階では、金型・治具・刃具の長寿命化や用途に応じた徹底的な使い切りを進めるとともに、製造工程で発生する端材や切粉の再資源化にも取り組んでいます。今後も、製品設計と生産技術の両面から、資源投入量の最小化と再利用の最大化を追求していきます。

2025年度の主な事例

検査基準の適正化活動(アイシン)

アイシンは、2023年度から電動化製品を対象とした品質・性能適正化特別活動を推進し、過剰品質を見極めて検査基準の適正化を行っています。その結果、廃却となっていた部品を5割以上削減しました。他拠点や他製品にも展開できるように標準化し、国内工場を起点に、アイシングループや海外拠点へと活動を拡大しています。

リマニュファクチャリング事業による再生品の生産(オーキス・ジャパン、AISIN EUROPE、AISIN Aftermarket & Service of America)

⽇本・欧州・北米にて市場より回収したオートマチック・トランスミッションを分解し、リマニュファクチャリングする事業を展開しています。品質を確保した再生品をお客様へ提供することで、資源の有効活用を推進しています。2025年度は、約25,000台(アイシングループ合計)を再生品として生産しました。

製品を分解している様子
製品を分解している様子

廃棄物の価値向上による排出量最小化

アイシンは、廃棄物の削減にとどまらず、資源として価値を高めていくことを基本的な考え方としています。廃棄物の発生源対策を起点に、処理技術の開発などにより、分解や分別による埋立・産業廃棄物の価値向上を推進しています。

2025年度の主な事例

廃棄物のアップサイクルと商品化(シーヴイテック)

シーヴイテックは、自動車部品の製造工程で発生する汚泥を植木鉢へとアップサイクルする取り組みを推進しています。産業廃棄物として処理されていた「バレル研磨汚泥」が、陶器材料と高い親和性を有していることに着目し、焼き物の産地として知られる愛知県の地元企業である有限会社丸俊セラミックへ供給することで、植木鉢として再生しています。本取り組みにより、従来は処理コストを要していた廃棄物を新たな価値へと転換するとともに、廃棄物の削減や地域産業の活性化にも貢献しています。

汚泥をアップサイクルした植木鉢
汚泥をアップサイクルした植木鉢

自然共生に向けた取り組み

アイシンの事業活動は多くの自然資本に支えられており、環境負荷の低減による自然への影響の最小化が不可欠です。特に、水との関わりが強いことを踏まえ、アイシンでは「水削減6則」を定めています。また、事業活動における水使用量の削減に取り組むことで、自然資本への依存の最適化をはかっています。さらに、「アイシングループ生物多様性保全活動ガイドライン」に基づき、地域価値の向上に向けた取り組みの一環として、自社敷地内及び周辺水域において地域と連携した生物多様性保全活動を継続的に実施しています。これにより、自然との協調の最大化を目指しています。

2025年度の主な事例

岡崎東工場ビオトープ「悠久のもり」が自然共生サイトとして認定(アイシン)

岡崎東工場ビオトープ「悠久のもり」では、地域密着型ビオトープをコンセプトに掲げ、希少な在来種の保全や生息環境の維持・改善に取り組んでいます。新入社員教育の場としての活用に加え、従業員やその家族を対象とした生きもの観察会や外来種駆除体験などのイベントを通じて、地域に根差した生物多様性保全活動を推進しています。本取り組みが評価され、2025年12月に自然共生サイト※として認定されました。

自然共生サイト:環境大臣・農林水産大臣・国土交通大臣により認定された民間の取り組み等によって生物多様性の保全がはかられている区域

悠久のもりにおける社員教育の様子
悠久のもりにおける社員教育の様子
ビオトープ保全イベントの様子
ビオトープ保全イベントの様子
自然共生サイト認定
自然共生サイト認定

阿蘇満願寺自然保護区における希少野生植物の保全活動が自然共生サイトとして認定(アイシン九州)

地下水の水源地域である阿蘇山の阿蘇満願寺自然保護区において、地域の皆様と連携した希少野生植物「オグラセンノウ」の保護に取り組むことで、地域の生態系保護に貢献するとともに、生態系と事業活動のつながりを学び、考える機会としています。本取り組みが評価され、2026年3月に自然共生サイトとして認定されました。

保護活動の様子
保護活動の様子
希少野生植物「オグラセンノウ」
希少野生植物「オグラセンノウ」
自然共生サイト認定
自然共生サイト認定

「GREEN&BLUEプロジェクト」の推進(アイシン)

その他の取り組み

2025年度の主な事例

自動車部品製造技術を農業に応用(アート金属工業)

アート金属工業は、経営課題や地域課題を背景に、遊休地を活用した寒冷地向けコーヒー苗のハウス栽培を開始しました。冬季の暖房需要に対応するため、自動車部品製造で培ったセンシング、品質管理・データ解析技術を農業に応用し、地中熱ヒートポンプやハウス内環境の自動制御システムを導入しました。これにより、従来の化石燃料を用いたボイラーによる暖房と比較してCO2排出量の大幅削減と省人化を実現しました。気候変動対策の一環としての取り組みが高く評価され、2025年12月に環境省が主催する「気候変動アクション環境大臣表彰」を初めて受賞しました。

コーヒー栽培のビニールハウス
コーヒー栽培のビニールハウス
栽培しているコーヒーの実
栽培しているコーヒーの実
気候変動アクション環境大臣表彰受賞
気候変動アクション環境大臣表彰受賞

基盤活動

環境マネジメント

アイシンは、環境への取り組みを全拠点で確実に推進するため「アイシングループ環境方針」をアイシングループで共有しています。2008年にEMS※研究会を立ち上げ、「標準化」「⼈材育成」「アセスメント」の3つの柱を重点に年4回活動をしています。海外統括6拠点とは、環境責任者と⽉に1回会議を設け、環境法遵守、環境重⼤事故の未然防⽌に努めています。

EMS:環境マネジメントシステム

標準化

アイシンは、環境事故・汚染・法令違反などの環境リスクを特定するため、「AGES(アイシングローバル環境スタンダード)」を策定しています。排水、大気、廃棄物、騒音・振動、土壌・地下水、悪臭、共存会社管理の7つの視点で環境リスクの未然防⽌と最⼩化に取り組んでいます。環境事故の再発防止に向け、2025年度は、建屋及び環境保全関連施設の老朽化リスクのうち埋設配管に重点を置き、配管の地上化や二重化などの対策を実施しました。さらに、排水については、国内外のアイシングループ会社へ展開し、基準に適合していない約3割の拠点で是正活動を開始しました。今後は、2028年度までに運用管理手順の修正を完了し、2030年度までに設備改造を伴う是正を完了する予定です。

EMS高度化のサイクル

EMS高度化のサイクル

人材育成

アイシングループ全体で同じレベルの環境管理を⽬指し、2022年度からマニュアル・標準の共通化を推進しています。環境法違反や事故・異常に直結する業務は、社内有資格者に限定し、3年ごとに教育とOJTを義務付けました。今後も専⾨知識やスキルが求められる業務に対して、⼈材育成を進め、環境法違反や事故を防⽌していきます。2025年度は、廃棄物処理におけるヒヤリハット事例が発生したことを踏まえ、アイシンの生産技術部門の全従業員を対象に社内教育の受講を徹底しました。その結果、生産技術部門に起因するヒヤリハットの発生を防止することができました。2026年度は他部門、アイシングループ会社まで活動を拡大し、遵法管理レベルを向上させます。

アセスメント

アイシンは、環境マネジメントシステム(国際規格ISO14001)の認証を連結会社の91%が取得し、維持・更新しています。しかし、各社で仕組み・要領・管理標準の浸透にばらつきがあり、環境事故や異常の早期発⾒に課題を持っていました。2024年度からはアイシングループ全体の活動結果を踏まえたマネジメントレビューや内部監査の重点テーマの統一化を開始し、2025年度末では計画通り44%の会社が統一活動への参画を完了しました。今後は、さらなるEMS推進レベル向上に向け、各社の監査員のレベル統一化にも取り組んでいきます。