基本的な考え方・方針

アイシンは、持続的な成長と企業価値の向上を実現するため、知的財産を重要な経営資源と位置づけ、経営および事業戦略に基づいてその維持・強化と適切な活用を推進しています。これにより、競争優位性を確保し、独自の価値提案を通じて事業拡大を加速させることを目指しています。

推進体制

アイシンの開発機能部署と知的財産機能部署が連携し、知的財産戦略の策定、発明の創出や発掘、権利保護、活用、維持管理、知的財産保証のマネジメントを実施しており、連携を深めるためのリエゾンマンを開発機能部署に配置しています。
また、グローバルな研究開発拠点との連携も強化しています。さらに、社員教育を通じて、知的財産の重要性や業務・活動に関する教育も実施しています。

戦略

アイシンが保有する知的財産のたな卸しを行い、知財情報を含む外部環境の動向を分析することで、経営および事業戦略を骨太化するとともに、戦略に沿った強みとなる新要素技術を創出し、最適な知的財産ポートフォリオを構築します。さらに、知的財産をクロスドメインで活用することで、事業活動を通じた提供価値の最大化と、企業価値の向上につなげます。
また、第三者の知的財産権を尊重してクリアランス調査を行うことで、事業の安全性確保と交渉力の強化を図ります。

戦略

将来に向けて新要素技術が蓄積され続けている状態を目指し、高度な技術的思想の創作である発明件数を指標として継続的な増加を推進します。これにより、戦略的に発明の特許権利化を進めて競争優位性の確保を図るとともに、秘匿による技術の差別化を図ります。

関連するマテリアリティ

マテリアリティ 目標(KGI) 指標(KPI) 2030年度目標値
優先課題 実現に向けた方向性
世界中の人々に移動の自由を提供 挑戦する企業文化の醸成 新要素技術が蓄積され続けている状態 発明件数 1,500件

発明件数:特許出願件数、秘匿ノウハウ件数、公開ノウハウ件数の合計件数

主な取り組み

新要素技術の蓄積に向けた取り組み

経営および事業戦略に基づき、知的財産の強化を目指す開発テーマを設定し、戦略的な発明創出・発掘活動を推進しています。具体的には、知的財産を含めた情報解析による外部環境の変化を捉えるとともに、自社の強みとなる技術を考察して開発コンセプトを設定します。さらに、ビジネスモデルに応じて、発明のオープン/クローズ領域や知的財産権による独占領域を企画し、計画的な発明創出や発掘により知的財産の強化を図ります。近年では、安全性・快適性の向上などに資するモビリティの情報解析技術や、エネルギーに関する水素関連技術などに注力し、発明創出を推進しています。技術軸とグローバルな地域軸の両面から、知的財産ポートフォリオの最適化を図っています。

情報解析技術の発明件数

情報解析技術の発明件数

水素関連技術の発明件数

水素関連技術の発明件数

知的財産の管理および活用の取り組み

知的財産の活用状況の確認と価値の評価を継続的に実施し、将来に向けたビジョンとそれらのデータを組み合わせることで、知的財産の維持管理および活用を推進しています。また、これらの取り組みを知的財産の戦略的な活動に循環させることで、知的財産の総合力を向上させます。現在、ブレーキ、操舵系、駆動系、車体系、運転支援制御、LBSなどのモビリティ領域に加え、エネルギー領域や生活環境領域など、多様な知的財産を保有・管理しています。

2024年度特許ポートフォリオ

2024年度特許ポートフォリオ

リスク回避への取り組み

新たな価値を創造し提供する将来事業において、優位性と安全性を確保するため、第三者の知的財産権侵害のリスク軽減にも努めています。アイシンの製品は広範囲にわたる技術を活用しているため、将来第三者から知的財産権侵害を理由とした訴訟が提起される可能性があります。こうしたリスクに対処するため、事業開始前にクリアランス調査を実施し、第三者の知的財産権の侵害予防に努めています。また、万が一訴訟提起された場合には、侵害性の有無、対象権利の有効性、使用権の有無などを迅速に判断し、適切な対応を行うことができる体制を整えています。