CO₂を炭酸カルシウムとして固定化する技術の カーボンリサイクル・コンクリートへの活用に関する共同開発契約を締結(大成建設株式会社との共同リリースです)

2022.04.01

事業展開

 大成建設株式会社(本社:東京都新宿区 代表取締役社長:相川 善郎 以下、大成建設)と当社は、この度、アイシンが保有するアミノ酸を活用して排気ガス等に含まれるCO₂を炭酸カルシウムとして固定化する技術を、大成建設が開発したカーボンリサイクル・コンクリート「T-eConcrete®/Cabon-Recycle」に活用するため、共同開発契約を締結しました。

 大成建設とアイシンは、2050年カーボンニュートラルの実現を見据え、大成建設のセメントを使用しない環境配慮コンクリート「T-eConcrete」のうち、CO₂収支がマイナスとなるカーボンネガティブを可能とするカーボンリサイクル・コンクリート「T-eConcrete®/Cabon-Recycle」に対して、アイシンのアミノ酸を活用したCO₂固定化に関する技術を活用した炭酸カルシウムの製造方法の適用について共同開発を進め、2030年頃までに実用化を目指します。

 共同開発では、アイシンはカーボンリサイクル・コンクリートに適した炭酸カルシウムの製造・評価を、大成建設は本技術で生成された炭酸カルシウムのカーボンリサイクル・コンクリートへの活用・評価をそれぞれ担当します。

アイシンの開発領域
■アミノ酸を活用したCO₂固定化に関する技術概要
 排ガス等に含まれるCO₂を鉄鋼スラグ・廃コンクリート等の産業副産物に含まれるカルシウム源を抽出したアミノ酸水溶液に吹き込むことで炭酸カルシウムとして固定化する技術で、特長は以下の通りです。

【特長】
①食品など一般的に流通しているアミノ酸水溶液を用いたプロセスを適用し、効率的なCO₂固定化が可能
②CO₂の固定量が他社比較で10倍(アイシン調べ)
③アミノ酸水溶液の温度調節やCO₂濃縮などの複雑な化学処理が不要で、容易に炭酸カルシウム生成が可能
④アミノ酸水溶液は繰り返し使用できるため、溶液の循環利用が可能で経済性に優れている

大成建設の開発領域
■環境配慮コンクリートおよびカーボンリサイクル・コンクリートの技術概要
 環境配慮コンクリート「T-eConcrete」は、セメントの使用量を抑制し、通常コンクリートと同等の強度、施工性を保持しながら、CO₂排出量の削減が可能です。セメントの代わりに加える産業副産物などの配合状況により、建築基準法対応型、フライアッシュ活用型、セメント・ゼロ型およびCarbon-Recycleの4タイプがあり、目的用途により適切な仕様のコンクリートで対応できます。(詳細技術概要: https://www.taisei.co.jp/t-econcrete/ )

【カーボンリサイクル・コンクリート「T-eConcrete®/Carbon-Recycle」の特長】
 排気ガスなどから回収したCO₂にカルシウムを反応させて生成する炭酸カルシウムなどのカーボンリサイクル材料と、製鉄で生じる産業副産物である高炉スラグを用いて製造するコンクリートです。CO₂を炭酸カルシウムに変換して練り混ぜることで、コンクリート内部にCO₂を固定することができます。

①コンクリート内部にCO₂の固定が可能
②製造過程におけるCO₂排出量収支のマイナスを実現
③通常設備で製造でき、普通コンクリートと同等の強度、施工性を発揮
④コンクリート内部の鉄筋腐食を防ぎ、構造物の耐久性を維持

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          アミノ酸を活用してCO₂を炭酸カルシウムとして固定化する技術プロセス

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