人と地球に優しい物流革新。アイシンのDX-Lって?【後編】

2022.06.10

人と地球に優しい物流革新。アイシンのDX-Lって?【後編】

持続可能な未来地球と働く人たちの笑顔のために。アイシンが今、力を入れて取り組んでいるのが「物流」へのデジタル活用です。

私たちが「DX-LDX-Logistics:物流のDX)」と呼んでいるこの活動は、現在さまざまなテーマで活動を展開しており、前編では「取り組み①:ロボティクスで工場の『運ぶ』を自働化」と「取り組み②:トラックの配送の可視化とルートの最適化」についてご紹介しました

Aisin_logistics_DX_all.JPG後編では、「取り組み3:モノの流れのリアルタイムな可視化」と「取り組み4:資材廃棄の削減」をご紹介します。

取り組み3:「いま、どこに、どれだけある?」モノの流れをリアルタイムで可視化

材料調達からお客様へお届けするまで、生産現場の「モノ」は形を変えながら常に移動しています。そのため、モノが「いま、どこに、どれだけ」あるか、サプライチェーン全体の状況を把握したりすることは容易ではありません。 

しかしモノの流れをリアルタイムで可視化できれば、多くのメリットが得られます。 
例えば、計画に対する物流の進捗状況が一目でわかるようになります。遅れに素早く対応して納期遅れを防止したり、遅れが出ないように未然防止を図ったりできるので「リードタイムの短縮や業務の効率化」といった効果が期待できます。
また、サプライチェーン全体を通した在庫量が見えるようになるため、「在庫の全体最適化」も実現できます。
さらには、製品1個単位での現在位置がわかるようになれば、品質トラブルなど万が一の際にも迅速な対応が可能になり、「トレーサビリティの向上」にもつながります。 

さまざまな効果を生み出す「モノの流れの可視化」を実現するには、モノの位置データをリアルタイムで取得するしくみが不可欠です。

RFIDでモノの流れを可視化

位置データの収集で活躍するのが「RFID(アール・エフ・アイ・ディー)」です。
RFIDとは、「RFタグ」と呼ばれる専用タグの情報を、電波を使って非接触で読み取ったり書き換えたりすることができるIoT技術です。バーコードやQRコードのように1つずつ読み込む必要がなく、スキャナをかざしたり読み取りゲートに通したりするだけで、電波の届く範囲にある複数のRFタグを一気に読み込めるという特徴があります。
大手アパレル量販店のセルフレジでも導入されている「ボックス内に商品を入れると一瞬で合計金額が計算される、あのシステム」と言えばイメージできる人も多いのではないでしょうか。

アイシンでは、目的や荷姿を考慮した上で最適なRFタグを選定。個別の情報を登録したRFタグを部品の入った箱や製品に添付し、工場や物流倉庫の出入り口などに設置したゲートを通るだけで、モノの搬出入を自動記録するシステムの構築を進めています。

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輸送用パレットに添付したRFタグ

システムの構築は、RFIDに関する知見が豊富な株式会社フェニックスソリューション、トッパン・フォームズ株式会社と連携。高い専門性を持つ外部企業のノウハウを積極的に取り入れています。

この技術を活用し、モノの流れをリアルタイムで可視化することで、前述したリードタイム短縮、サプライチェーン全体での在庫の最適化、トレーサビリティの向上といった効果に加え、検収や棚卸作業といった作業が自動化され、大幅な工数低減も可能になります。この活動を通して、全体での納期、物流コストともに50%の削減をめざします。

「モノの流れの可視化」の取り組みは国際物流へ広がる

モノの流れを可視化する取り組みは、さらに国際物流へと広がっています。
アイシンは海外への輸送方法として、主に船舶を利用しています。船舶のリアルタイムな位置データの取得やグループ規模のデータ共有で国際物流管理業務の飛躍的な効率化を達成していきます。

私たちは、日本で生産した部品や製品を多く海外へ輸出しています。目的地によっては、何千キロもの距離を数カ月かけて輸送しますが、その間に起こる悪天候などさまざまな要因により到着日が前後することは珍しくありません。

さらに近年は、新型コロナウイルスの影響で「港湾処理能力の低下」「コンテナ不足」といった問題により港が混雑して運航遅延が世界的に発生しているほか、輸送運賃の高騰や地政学的リスクの高まりも相まって国際物流はますます混乱を深めています。
私たちもその影響を受け、輸送計画や在庫計画に大きな影響が出ている状況です。

製品を載せたコンテナが目的地に到着するまでの間、物流担当者は「運航は計画通りか、遅れている便はないか、納期までに届きそうか」といった確認を船会社のホームページから得られる情報をもとに手作業で行います。
アイシングループ全体で200人近くがこの確認に携わり、かなりの作業負担となっています。

この業務を効率化するために現在取り組んでいるのが、コンテナの位置情報の可視化です。
先進的なサプライチェーン可視化プラットフォームを提供する「project44」の協力を得ながら、海上貨物の輸送状況に関する精度の高い情報をリアルタイムに取得し、グループ全体で共有します。これにより予期せぬ混乱に対して、社内部門や関係会社と連携した迅速な対応が可能になります。

国を越えた「モノの流れの可視化」により輸出入管理の業務負担を解消し、さらには物流コストの削減、グローバルサプライチェーン全体での在庫の最適化などを達成していきます。

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取り組み4:資材廃棄を減らし、CO2排出を50%削減

物流のCO2削減というと、トラック排気など輸送中に出るCO2の削減に注目しがちです。しかし、輸送には多くの資材が使われており、それらが廃棄されるまでにもたくさんのCO2が排出されていることを忘れてはいけません。

かんばんのデジタル化 

アイシンは「かんばん」をデジタル化し、紙の廃棄をゼロにする取り組みを始めています。「かんばん」とは、商品名・品番・保管場所など情報が書かれた管理の道具のことで、工場では部品や製品の入った容器にかんばんを添付して物流管理をしています。
年間で1.5億枚が使用され、古紙としてリサイクルされるまでに発生するCO2排出量は年間約3千トンにも上ります。

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かんばん(約85mm×200mm

かんばんの廃棄量を削減する手段として注目したのは、「取り組み3」でもご紹介したRFIDです。RFタグの情報は、それを可視化するデバイスを使用することで、現場での目視確認が可能になります。紙のかんばんと同じ機能をRFタグにもたせることで、紙からRFタグへの置き換えを促進。デジタル化を進め、紙の使用をゼロにする取り組みを始めています。

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これにより廃棄までに出るCO2の排出をゼロに近づけることができるだけでなく、バーコードの読み取り作業(全工程で約130時間/)や、検収・棚卸の作業工数が不要になり、大幅な業務改善が実現できます。

荷姿の最適化 

かんばんのデジタル化と並行して進めているのが、梱包資材の廃棄量削減です。

アイシンでは、毎年段ボール約6万トン、プラスチック製梱包資材約5万トンを含む合計約11万トンの梱包資材が廃棄されています。その量は25mプール約19杯分にもなり、廃棄の際に出るCO2排出量は年間3万トンに上ると推定されます。

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廃棄量削減において、私たちは「4RReduce:削減、Reuse:再使用、Recycle:再生+ Renewable:再生可能)」を基本として活動しています。
仕入先からお客様までの全てを通して、過剰な梱包の見直しと、運ぶ距離と荷量を減らすために現地調達化を含む活動を推進し、物流領域で使用する廃棄量削減に取り組んでいます。 

荷姿はこれまで、各工場それぞれの担当者の経験と勘をもとに決めることが多く、ノウハウの共有など横の連携が進んでいないという課題がありました。
グローバルを含めた全工場での荷姿の最適化を実現するために、私たちは個人のカンコツに頼らない荷姿設計の実現をめざしています。

例えば、各工場の部品や製品の荷姿をデータベース化し、4R活動を通じて最適化した荷姿を共通プラットフォームで一元化します。これにより新たに荷姿を決める際、類似事例を検索できるようになり、検討時間や手間を大きく削減できるようになります。

さらにデータベースにシミュレーションソフトを組み合わせて、部品や製品の3Dデータをもとに「CO2排出量、重量、サイズ」などさまざまな視点から最適な荷姿を提案するシステムを開発し最適化を図っていきます。

このような、かんばんのデジタル化および荷姿の最適化の取り組みにより、2030年までに資材廃棄によるCO2排出量の50%削減、さらに資材廃棄量についても50%削減をめざしていきます。

DX-Lで人々に笑顔を、未来地球に美しさを運ぶ

 人々の笑顔あふれる持続可能な社会と、美しい地球を未来へと運ぶDX-L。
本記事では、前後編にわたり4つの取り組みをご紹介しました。

 わたしたちはこれからも、サプライチェーン全体でデジタルを活用した業務改革やCO2排出の低減への取り組みを続け、カーボンニュートラルの達成および人々の自由と喜びに貢献して参ります。

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