リアルタイム音声認識アプリ「YYSystem」の可能性は無限大!使う人とともにつくり上げる社会課題解決への挑戦
2026.09.14
※2026年9月14日 更新
「聞こえにくい」「言葉がわからない」、そんな理由で、必要な情報が届かない場面は、私たちの身の回りに少なくありません。アイシンは、聴覚障がいのある方のコミュニケーション支援として開発を続けている音声認識アプリ「YYSystem(ワイワイシステム)」を通じて、誰もがストレスなく会話できる社会をめざしています。
シリーズ累計ダウンロード数は300万を突破し、個人の利用はもちろんのこと、自治体の窓口やホテル、駅などへと活用の場が広がっています。
その広がりを支えてきたのが、実際に使う人の声を取り入れながら、ともに技術を磨いていく「共創」の開発スタイルです。
リアルタイム音声認識アプリ「YYSystem」のはじまり
アイシンが2019年に自社開発した、現在の「YYSystem」の原点となる音声認識アプリ「YYProbe(ワイワイプローブ)」。
当初の目的は、高精度な音声認識システムで会議など仕事中の音声データを収集・分析し、業務に関する知見の蓄積や生産性の向上に生かすことでした。
文字起こしツールにおいて、よくタイムラグや誤認識が問題視されますが、YYSystemは工場の騒音の中でも素早く正確に「声」を識別するアイシン独自のアルゴリズムを搭載し、高い処理速度と認識精度を実現しました。
さらに、笑い声を可視化できるのも特徴で、さまざまな笑い声のサンプル音声を機械学習させたAIモデルが、会話中の笑い声を認識して「(笑)」と表示します。

YYProbe独自の「笑いを可視化する機能」について、開発に携わる山川は次のように話します。
「この機能には『話者の感情や会話の雰囲気までも伝えられるようにしたい』という開発者の想いが込められています。実際の会話には笑い声や言い淀みなど、その場の雰囲気や話者の感情を表す情報が多く含まれています。しかしそういった情報は、議事録など会話ログの中では省かれることが多いです。私たちは会話の抑揚までも可視化することで、ユーザーに新たな価値を届けることに挑戦しました。笑い声の可視化は、その第一歩です。」
YYProbe開発担当 山川 隼輝
聴覚障がいのある従業員のコミュニケーションに―利用者と育てるシステム開発の原点
このシステムを、聴覚障がい者が働く職場のコミュニケーション支援に使えると考えたのが、アイシングループの障がい者雇用を促進する子会社「アイシンウェルスマイル」です。
2021年3月から、アイシンで勤務する聴覚障がい者約300人にYYProbeをインストールしたデバイスを配布して運用を開始。実際に使ってみると、機械の稼働音など工場内のさまざまな音の中から高精度に声を認識し、社内用語や専門用語も正しく表示できるなど、実用においても高い性能を発揮しました。
利用者からは「会議の輪に入りやすくなった」「話の理解が深まり業務の質が向上した」といった感想が寄せられ、コミュニケーションの不自由を解消するツールとして大きな効果が得られました。
こうした実際の利用を通じて、利用者の課題や声を取り入れながら、YYSystemの機能や活用方法を磨いてきました。

社内から社外へ広がる「YYSystem」
社内での実績を土台に、2021年からは社外での活用も始まりました。
高齢化が進む山口県阿武町などの自治体窓口では、職員の言葉をリアルタイムでタブレット端末に表示する「字幕モニター」として導入。実際に窓口で使った山口県阿武町健康福祉課の宇佐川さんは、「聴力の弱い方とのコミュニケーションがしやすくなり、住民サービスの向上につながっていると実感しています。簡単な操作で音声を正確に文字化してくれるので職員からも好評です」と話します。

その後も活用の場は、官公庁、企業、病院、学校などへ広がりました。鉄道駅でも全国約40カ所でYYSystemの設置が進んでいます。
こうした広がりの背景には、2024年4月の障害者差別解消法改正により、事業者にも合理的配慮が求められるようになったことや、インバウンド需要の高まりなどがあります。
名鉄名古屋駅で、駅の案内放送を「見える化」
2026年4月からは、名古屋鉄道株式会社と連携した新たな実証実験が始まりました。
1日に最大28万人が利用し、約900本の列車がわずか2本の線路で最短2分間隔に発着する名鉄名古屋駅。2026年秋には「愛知・名古屋2026大会」の開催も控え、国内外から多くの人々が駅を利用することが見込まれています。
そんな名鉄名古屋駅では、行き先の異なる列車が次々と到着します。案内放送は係員がその場で読み上げていますが、日本語による一度きりの肉声放送のため、耳が聞こえにくい方や海外からの旅行者には情報が届きにくいという課題がありました。
そこで始まったのが、係員の案内放送をリアルタイムで文字にし、英語・中国語・韓国語などに翻訳してモニターに表示する取り組みです。これまで鉄道駅での導入実績はありましたが、駅ホームの案内放送をリアルタイムで文字化・翻訳する取り組みは初めてです。
しかし、実際に駅のホームで導入するには、精度面での課題がありました。名鉄名古屋駅でYYSystemの実装を担当した前田はこう振り返ります。
「駅の案内放送には、駅名や列車の種類、独特の言い回しが次々と登場するため、実現は簡単ではありませんでした。一般的な音声認識ではうまく文字化できず、当初は認識の精度を上げるのに苦労が続いたのです。」

YYSystem導入担当 前田 優熙
鍵となったのは、その人に合わせて最適化する「Myエンジン」機能
そこで鍵となったのが、AIを活用したYYSystem独自の「Myエンジン」機能です。話し手の話し方や声の特徴をAIが学習し、認識の精度をその人に合わせて最適化する音声認識エンジンで、もともとは聴覚障がいのある方のコミュニケーション支援のために生まれました。
聞こえにくい方の発話は一般的な音声認識では認識されにくいことがあり、一人ひとりの声に最適化する必要がありました。
この「Myエンジン」は、日本マイクロソフト株式会社との連携のなかで開発・改良が重ねられてきました。YYSystemは、音声認識にMicrosoft CorporationのAI技術「Azure AI」を使用しており、「Myエンジン」の開発にあたり同社と連携することで、高い精度を実現しました。
こうした取り組みは国際的にも注目され、「Microsoft Build 2025」のキーノートセッションにて、Microsoft CorporationのCEOであるサティア・ナデラ氏がアイシンの取り組みを紹介しました。
名古屋鉄道との取り組みに「Myエンジン」機能を応用した時のことを、前田はこう振り返ります。
「駅名や列車の種類に加え、アナウンスを担当する係員およそ40人の話し方の特徴を、半年かけて学習させました。その結果、名鉄特有の駅名や列車名、独特の言い回し、早口の放送にも対応し、正確に文字化できるようになりました。認識精度は学習前の約78%から約97%まで向上しました。(当社調べ)」
使う人とともにつくる、YYSystemのこれから
YYSystemの開発で大切にしてきたのは、使う人とともにつくり上げる「共創」です。
実証でも、うまくいった結果だけでなく誤認識の例もあえて公開し、SNSで寄せられた声をもとに改善を重ねています。こうした姿勢は「共創型のインクルーシブデザイン」として評価されており、音声認識に関する特許は「愛知発明賞」を受賞しました。
アイシンはこれからも、多様なニーズに応えるYYSystemの機能強化と利用拡大を進め、誰もが安心して円滑にコミュニケーションできる社会の実現をめざします。
<YYProbeの詳細はこちら>
■ リアルタイム音声認識アプリ「YYProbe」は、以下からダウンロード可能です。
「YYProbe - 会話の分析・可視化アプリ -」をApp Storeで (apple.com)
YYProbe - 会話の分析・可視化アプリ - - Google Play のアプリ
■ YYProbe公式ホームページ
リアルタイム音声認識アプリYYProbe
こちらのサイトの「#8 タツヲ、YYProbeをPRせよ!」動画もご視聴ください!
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