「道路」と「物流」の困りごとを解決。社会課題に応える、アイシンのDX
~物流業界への物流支援、自治体への道路維持管理支援を通して、お客様を笑顔に~
2021.08.20
「“移動”に感動を、未来に笑顔を。」という経営理念の実現に向けて加速させているのが、デジタルトランスフォーメーション(DX)だ。DXはデジタル技術の活用を通じてビジネスモデルや組織を変革することを意味するが、世界中でDXに向けた取り組みが勢いを増している。これはDXを通じて、グローバルな課題を解決しつつ経済成長につなげることが、持続可能な社会の実現のための大きなカギと考えられているからだ。だれもが質の高い生活を送ることができる理想的な社会にするために、アイシンはDXを活用し社会課題の解決への取り組みを加速させている。
誰もが安全で快適に過ごせる街づくりへの貢献
人々が安全に、安心して道路を利用するために、自治体の道路の維持管理業務はとても重要な役割をもつが、限られたリソーセスですべての道路を維持管理するのは非常に大変だ。そこでアイシンはDXを活用して、自治体の道路維持管理を支援する独自のサービス開発に取り組んでいる。
アイシンの道路維持管理支援サービス「みちログ」とは、走行車両で収集したデータから道路の異常を検知し、その情報の自治体への提供と、道路補修に向けた計画支援、対策実施といった道路の維持管理のトータルサービスであり、従来の道路維持業務をより効率的に行えるようにしたサービスだ。
道路維持管理支援サービス「みちログ」の概要
道路情報をデータとして収集するにあたっては、”自治体の方に負荷をかけずに効率よくデータが集まり、確認できる仕組みづくり”をコンセプトにしている。アイシン製のモジュールを、ごみ収集車など市内を走行するさまざまな車に取り付けるだけで、データが自動で集まり、集まったデータをビッグデータとして分析することで、これまでは現地にいかなければわからなかった道路異常がwebアプリケーションで簡単に確認ができるようになるシステムなのだ。
住民から連絡のあった異常地点もみちログ上で管理できるため、これまでのような紙の資料での管理が不要になり、管理者やパトロール隊の人々がリアルタイムに情報を確認することができるようになるため、業務の効率化を行うことができる。
また、カーナビゲーション開発で培った、わかりやすく使いやすいユーザーインターフェース(UI)の作りこみもアイシンの得意分野だ。
サービスの開発を推進する、リーダーの宮島はこう語る。
「我々が一番大事にしていることは、お客様の困りごとが何かを実際に現場にいって確認し、それを解決するソリューションを提供することです。実際に現場で使ってもらい、嬉しさを感じていただくことができないと意味がありません。これまでアイシンがカーナビゲーションシステム開発で培った、位置情報活用技術や、クラウド、サーバーに関する知見などを、ITに馴染みがない・苦手意識があるお客様でも積極的に取り入れてもらえるように、バンダイナムコエンターテインメントさんと協業して『パックマン』とのコラボをするなど、お客様に使っていただけるようにアプリケーションのUIにも工夫をしています。現場で実務をされる方々の意見を取り入れながら、誰もが簡単に直感的に使えるUIにすることを目指し日々改善を行っています。お客様がDXを身近に感じ、使ってもらって喜んでもらえるように、みちログでその橋渡しをしたいと思っています」
株式会社バンダイナムコエンターテインメント社とのコラボの詳細はこちら
道路維持管理支援サービス推進リーダー 宮島さん
現在は、全国の自治体の11か所以上で実証実験を実施しており、業務の効率化が期待できるととても良い反応をいただいているという。一方で、道路補修においては、自治体毎に管理の仕方が異なるため、各自治体で使いやすいように異常地点の検知基準を最適化する必要がある。多くの自治体で利用いただけるよう、位置情報活用PFにより、自治体に合わせた異常検知レベルの最適化と、日報や業務指示書で使用する管理情報を容易に変更可能なこともアイシンの特徴の一つとなっている。
また、道路維持管理以外の自治体業務においても、市内のどこで何があったかを管理する必要がある業務は多く、アイシンが持っている位置情報活用技術やビックデータの分析技術、カーナビゲーションで培ったコンテンツ生成技術などとの親和性が高い。
「今後は道路補修だけでなく、大雨などの災害時の災害情報や防犯に関する情報など、自治体が必要な情報を効率的に管理できるプラットフォームを構築することで、より広い領域でDX化に取り組み、誰もが安全に、安心して過ごせる街づくりの実現に貢献したいと思っています」とサービスの開発を推進する竹内は語る。
道路維持管理支援サービス推進者 竹内さん
人にやさしい物流を目指して
コンビニやスーパーをはじめ、私たちが便利で快適な生活をしていく上で、物流はとても大きな役割を担っている。しかし、ドライバーの人手不足や高齢化、荷下ろしの肉体的負荷、トラックから排出されるCO2など、物流業界は数多くの課題を抱えている。そこでアイシンは、DXを活用して物流業界の配送業務の効率化・柔軟化を支援する独自のサービス開発を行っている。
アイシンの物流支援サービス「BRIDGES@ny(ブリッジズエニー)」とは、物流現場に最適化した配送計画や道案内に加え、トラックの運搬状況や、荷物の積載場所など配送先情報を提供し、荷物の出発から到着までを一気通貫でサポートすることで、配送業務の効率化・柔軟化を支援するサービスだ。
「BRIDGES@ny」の概要
このサービスで、嬉しさを提供したいのは荷物を運ぶドライバーに対してだけではない。荷物を送る人や受け取る人など、物流に関わるさまざまな人に嬉しさを提供し、“人にやさしい物流”をつくることがコンセプトだ。
<それぞれの立場の人に提供できる嬉しさ>
- 荷物を運ぶ人・・・最適なルート案内によるストレスの軽減や、店舗固有の情報をもとにトラック駐車位置や、荷下ろし場の位置、荷下ろし場のルールなどを案内することでスムーズな配送ができる
- 荷物を送る人・・・効率的で無駄のない配送計画の作成や、拠点やルートの一元管理、動態管理による配送状況の見える化ができる
- 荷物を受け取る人・・・希望の時間・場所での荷物の受け取りができる
もちろん、最適なルート情報をドライバーに提供しているので、トラックのCO2 排出を低減でき地球環境にも優しい。
これらの嬉しさを提供できるのは、アイシンがカーナビゲーションシステム開発で培った、コネクティッド技術に長けているからだ。サービスの開発を推進するリーダーの山村はこう語る。
「アイシンは、コネクティッド技術やクラウド、ソフトウェアの領域でもノウハウがあるだけでなく、技術開発や生産技術など、事業活動のプロセスが全てあるところが強みなので、現場のお客様の声を聞いて社内で議論し、お客様の課題を解決するアプリケーション・サービスの設計が自社でできます。もちろん、国内外のIT企業や研究機関、大学などとの協業・研究も活発に行っています。私たちの目的は、スピーディーかつ確実に課題を解決し、お客様の笑顔をつくることなのです」
物流支援サービス推進リーダー 山村さん
さらに、カーナビゲーションを世界中で展開し、世界中の道路データを幅広く保有しているため、世界中の同じような課題解決にも活用できるという。
「お客様のソリューション開発のためには、何度もお客様のもとに足を運んで、しっかりと現場の声を吸い上げることが必要不可欠です。お客様の本当の困りごとは何か?その根底をしっかり議論して、物流業界に関わる人たちに本当に喜んでもらえるものを作ること。それが私の使命です」とサービスの開発を推進する加瀬澤は語る。
物流支援サービス推進者 加瀬澤さん
部門の垣根を越えた組織体制で、スピーディーなソリューション開発を
DXによる社会課題の解決への取り組むアイシンの組織体制は、とてもユニークだ。
これらのサービス開発をよりスピーディーに行うために、CSSカンパニー※では部門を横断したワーキンググループをプロジェクトごとに立上げている。ソフト面、ハード面、ビジネス面など各専門分野のメンバーが1つのチームとなりさまざまなアイデアを出し合うことで、よりスピーディーに開発を進められている。そこに、上司や部下という概念はなく、全員が各専門の責任者なのだ。
「メンバー皆が、積極的に意見をだして楽しく主体的に活動し、困りごとを解決するサイクルをスピーディーに回してお客様の笑顔を作るソリューション開発に取り組んでいます。私たちの活動が新規事業につながることはもちろん大切ですが、私たちの動きが社内をより活性化させ、経営理念である『“移動”に感動を、未来に笑顔を。』を実現する企業になるためのアクセルとなれればいいと思っています」と山村は語る。
アイシンはこれからも、従業員の熱意とフレキシブルな組織体制により、DXによる社会課題解決への取り組みを加速させていく。
※コネクティッド&シェアリングソリューションカンパニー