技を磨く、人を磨く。未来へつなげるアイシンの技能五輪への挑戦

~技能五輪国際大会で金メダルの快挙!~

2022.11.30

技を磨く、人を磨く。未来へつなげるアイシンの技能五輪への挑戦

みなさんは技能五輪を知っていますか?技能五輪は、23歳以下の若き技能者が鍛錬した技能レベルを競う技能競技会です。メカトロニクスや機械組み立て、移動式ロボットなど約40職種の競技があり、アイシンは7職種に参加しています。地方予選を勝ち抜くと全国大会があり、全国大会の優勝者は隔年開催の技能五輪国際大会に日本代表として出場し、世界一をかけて、しのぎを削ります。

1秒でも早く1mmでも高精度に、鍛え抜かれるカイゼン魂

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なぜアイシンが技能五輪に力を注ぐのか。技能五輪チームの指導を行う後藤明は「ものづくり力がアイシンの強み。品質の高い製品を届けるためには、人材育成が重要」と強調します。メダルという明確な目標がある環境で、1秒の時間短縮、1mmの精度を追求するためにコツコツと努力を重ね、改善し続けることができるものづくりのマインドを醸成し、アイシンのDNAとして継承していくのが目的です。クルマの電動化やカーボンニュートラルなど、自動車業界が大きな変革期を迎える中、次世代技術に対応できる卓越した技能を持った人材の育成も急務となっています。

躍動した技能五輪選手たち、支えてくれた家族や仲間に感謝

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技能五輪国際大会(特別開催)で金メダルを獲得した瀬木(右)・袖山(左)ペア

ものづくり大国日本、と呼ばれたのも今は昔。技能五輪国際大会では近年、中国などが台頭し、日本が金メダルゼロになる日も近いと危惧されています。そんな中、10月にドイツ・シュトゥットガルトで開かれた「第46回技能五輪国際大会(特別大会)」のメカトロニクス職種に出場したアイシンの瀬木竜・袖山玲ペアが、当社として初の国際大会出場で金メダルという快挙を成し遂げました。メカトロニクス職種は、2人1組で4日間をかけ、自動生産設備の設計、組み立て、プログラミングを行い、その精度や時間を競います。

瀬木「課題はすべて想定内でした。むしろ難易度が低く、時間勝負になると直感的に思いました。競技初日から順調に作業を行うことができ、3日目の終了時に金メダル争いは3、4カ国に絞られました。多くの観客に注目された最終日も安定した作業ができ、金メダルを獲得できました」

袖山「国際大会独特の雰囲気に緊張しました。チームの役割分担は瀬木選手がプログラミングで、私が装置の組み立てを行う。常に的確な指示をくれる瀬木選手、エキスパート※1の葛谷努さん、会社からのサポートもあり最高の結果を出すことができました」

1 選手とともに国際大会に参加する専門職のこと。選手指導に加えて、他国の競技課題の作成や評価、採点なども行う。

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左から葛谷エキスパート、瀨木・袖山ペア

表彰式では喜びを爆発させた2人。しかし、その道のりは決して平たんではありませんでした。新型コロナウィルスの影響により中国・上海市で開催予定だった技能五輪国際大会は中止。世界15カ国に会場を分散し、職種ごとに開催する特別大会となりました。さらにドイツ開催が決まったものの、コロナ禍で海外での合同訓練や競技会への参加もままならない状況。運営は海外チームとのオンライン競技会を開くなど、最大限のサポートに奔走したが、「リアルな経験を積めず、選手は不安で苦しかったと思う」(後藤)と慮る。そんな逆境を跳ねのけ見事、金メダルを獲得した2人が真先に吉報を伝えたのは日本の家族でした。

瀬木「結果発表は現地時間の夕方、日本は朝3時頃でしたが母親は起きていて、電話で『おめでとう』と言ってくれました。国際大会が近づくにつれプレッシャーで眠れない日々が続き、体調を崩した時期もありましたが、常に応援し支えてくれた両親には感謝しかありません。選手に選ばれてから約2年間、会社が訓練だけに集中できる環境をつくってくれたのもありがたかったです」

袖山「母に電話すると、『私の方が泣いてしまいそう』と感激していました。ここにたどり着くまでに2度挫けそうになりました。1度目は選手になって約1年が過ぎた頃。なかなか指示通りにできない自分が情けなく悔し涙を流しました。2度目は上海大会の中止が決まった時。目標を失い心が折れそうになったが、会社がドイツ開催の情報をいち早く入手してくれたおかげで、短期間で気持ちを切り換えることができました。国際大会に向け、国内では手に入りにくい海外の設備などをすぐに用意してもらえたのも、恵まれていると思いました」

アイシンを技能五輪のメダル常連企業に、ものづくりの楽しさ、挑戦の尊さ伝える

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2人は技能五輪選手を卒業し、来年1月から新たな道を歩み出す。瀬木選手はその卓越した知識や技能を次の技能五輪選手に伝え、育てていく指導者に、袖山選手は得意のメカトロ技術を生かせる生産技術部門への配属が内定しています。技能五輪で得られた知識や技術、経験は人から人へとつながり、現場に浸透していきます。

瀬木「技能五輪に取り組み、国際大会に出場できたことは自分の人生において貴重な経験となりました。訓練中、私自身は自主性に任せられることが多く、むしろそのおかげで自ら考え、対応力と技能を身につけることができたと思っています。だから私も教えるというより、選手に寄り添い、一緒に成長していけるような指導者になりたいです。夢はアイシンを技能五輪のメカトロクス職種の金メダル常連企業にすること。その過程で蓄積したコーチングのノウハウは、他の職種に応用できるはず。『アイシンで1番』と言われる指導者になり、全社のスキルアップに貢献していきたいです」

袖山「技能五輪に挑戦してよかったです。他国の選手とはメカトロだけでなく、生活や文化、家族のことなどいろいろな話をしました。もともと海外で働くのが夢でグローバル企業のアイシンに入社したが、国際大会を経験しその思いはさらに強まりました。世界の舞台で戦う高揚感や、努力と改善で目標を達成した時の充実感を味わい、自分自身の成長を実感することができました」

「チームアイシン」で挑む技能五輪、進化するものづくり人材

技能五輪国際大会で金メダルを獲得し、一躍スターとなった瀬木・袖山選手。技能五輪選手を輩出するアイシンの企業内訓練校「アイシン学園」では、両選手以外にも次世代のものづくりを担う若き技能者たちが日々、切磋琢磨しています。11月に千葉県で開催された技能五輪全国大会にはアイシンから7職種に19人が参加し、熱戦を繰り広げました。

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そのうちの一人が移動式ロボット職種で敢闘賞を獲得した山内陸選手です。移動式ロボット職種は2人1組で実際にロボットを動かし、品物をいかに早く、正確に運べるかを競う競技。山内選手は若杉斗馬選手とのペアで、臨みました。

「より高い完成度をめざして挑んだ新言語で苦労しましたが、その分、ロボットが思った通りに動作した時の喜びは大きかったです。これまで保守的だった自分が新しいことに挑戦し、変われたのが一番の収穫です」と笑顔で振り返ります。

職場の雰囲気はアットホームで明るい。「失敗すると、コーチだけでなく他部署の人たちまで原因を一緒に探ってくれたり、問題解決のアイデアを出してくれたりしました」(山内)。と感謝。「技能五輪の訓練で学べるのは知識や技術だけではない。目標を達成するための計画の立て方や段取りのノウハウも後輩に伝えていきたい」と目を輝かせます。

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技能五輪の職種の内容が職場で即役に立つとはかぎりません。技能五輪選手を育成する企業の時間的、費用的な負担も小さくはありません。それでも技能五輪に挑戦する意義はあるのか。答えはこれからのアイシンのものづくりの中にあります。技術革新を加速させ、世界トップレベルの技術力と現場力を誇る日本のものづくりをけん引していくのは、若き技能者の卓越した技術と情熱なのです。

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