次世代のリーダーを輩出する「アイシン学園」。未来を創り、世界で躍動する人材の育成とは?【後編】

2022.09.07

次世代のリーダーを輩出する「アイシン学園」。未来を創り、世界で躍動する人材の育成とは?【後編】

「デジタル人材」の育成に焦点を当てて紹介した前編に続き、後編では「グローバル人材」の育成に焦点を当てて紹介します。

前編記事はこちら

グローバル人材育成の核となる“アイシンイズムの継承”

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「アイシン学園」が推進する人材育成において、「デジタル人材」の育成と共に2本柱を成すのが「グローバル人材」の育成です。

グループ経営理念の提供価値に「安心と感動をお客様へ」を掲げるアイシンは、約12万人を超える従業員のうち、約40%ものスタッフが海外で働いています。大切なのは、世界中どこの国でもお客様に喜んでもらえること。そのためにグローバル人材の育成にも力を入れ、世界中どこでも同じように品質の高い製品を生産して届けることを重要視しています。

グローバル人材の育成について学園長・大橋芳幸は「アイシン流の技能伝承の仕組みや、心身訓練に象徴されるアイシンイズムなど、日本で培ったことを海外の現場でも浸透させたい。逆に海外の先進的な部分や優位性をアイシン全体に取り込んでいけるのも、学園があればこそ。グローバルな視点で100年に1度の大変革に打ち勝たなければならない」と意義を語ります。

グローバル人材の育成にさらなる加速を

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アイシン学園では、グローバル展開、海外生産へのシフトを見据え、教育体制の変革を進めてきました。中でも、施策の核となるのが「海外で活躍する人材」の育成を加速させる取り組みです。

海外で活躍する人材の育成は、「日本学園における海外生受け入れ」と「海外学園での現地教育」 という2本柱でアプローチしています。日本学園で受け入れる海外生に対しては、13カ月かけて細部にいたるまで手厚く指導。海外学園ではポイントを絞り、2.5カ月の短期間で効率的に教育を行います。

いずれの学園も「アイシン流の技能の継承」と「アイシンイズムの浸透」という目的においては共通しており、自身の職場へ戻った際には、ベースとなるこれらの考え方を部下のメンバーとも共有できるよう、アイシン流の技能に加えて、アイシンイズムの継承にも重きを置いています。

日本学園におけるグローバル人材の育成

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日本学園では国内のグループ会社を含め、高校を卒業した優秀な人材に加えて、2001年からは海外生産拠点の人材の受け入れをスタート。約1年間の実践的な教育を行っています。これまでに海外11ヵ国34拠点から400名以上の受け入れを実現。帰国した卒業生が現地の次世代のリーダーとして活躍するなど、着実に成果を上げています。

日本学園で受け入れる海外生は、主に現役監督者が対象であり、期待する役割は海外拠点の現場力向上です。海外の生産現場をリードするキーパーソンの育成を目指し、教育を重ねます。日本人学園生と共に、あいさつの習慣など日本的な心身訓練をはじめ、基礎技能を身につけるための実習を履修。さらにカリキュラムの後半では、専門部署と連携して高度技能、現場管理、マザー工場研修などの実習を行います。

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海外生受け入れの最大の目的について大橋学園長は「基礎技能教育に加え、心身訓練に重きを置いた教育を進めることで、アイシンのリーダーとしての精神性を日本で醸成するのが狙いです。現地へ戻った時には、アイシンイズムの伝道師として、それぞれの拠点を牽引していってほしい」と話します。

実際に、1年かけて日本で学んだ海外生の多くは、帰国後、日本人スタッフと現地の橋渡しとしても活躍。「日本学園のプログラムでは、日本語に加えて文化、企業としての考え方など技術以外の部分にも注力しています。アイシンの一員として学園で学んだスタッフは、円滑なコミュニケーションの促進に一役買っている」という声が現地から多く寄せられています。

海外学園運営により、各国で活躍するリーダー人材の育成を加速

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アイシン学園では、初の海外学園として2016年に中国の蘇州校を開校。続いて2022年には、2校目となるタイ校を開校しました。

海外学園の訓練期間は10週間(2.5ヵ月)。技能訓練は基礎技能に限定し、5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)や規律、自主性、チームワークなどを身につけます。躾とは、あいさつをはじめとした基本的な礼儀作法など、社会生活におけるルールを守る必要性に関することを示します。 

蘇州校の修了生が「指導員は非常に厳しく、小さな問題でも最後までやり切らないと指導される。その厳しさに戸惑いを覚えることもありましたが、心身・技能を中心とした多角的な教育を通じて自分の短所や問題から逃げてはいけないとわかりました」と話す通り、日本学園で大切に受け継いでいる“心”の部分も、しっかりと継承されています。

コロナ禍でのタイ校開校

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2022年には、蘇州校に続く海外学園としてタイ校を開校。タイ校開校に向けては、計画・準備段階で新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、手探り状態でのチャレンジとなりました。

初めての海外学園となった蘇州校開校にあたっては、日本語を理解できる人物を指導員として現地で新規採用し、日本に招いて一から育成。現在は、既存の従業員から人選し、新人指導員として育成しています。しかしタイ校の立ち上げに際しては、開校時から現地の育成スタッフである既存の従業員を指導員として人選。通訳を介して指導員として育て上げました。加えて、大きな壁となったのがコロナ禍という異例の状況です。立ち上げ時の指導員に関しては、蘇州校の開校時同様、日本に招いて育成を行う予定でしたが、来日が困難な状況が続いたことから急遽リモートでの実施に。画面越しにレクチャーを行いました。

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通訳を介してのリモートという状況下でタイ校指導員の育成に携わった訓練担当者は「“カン・コツ”の部分を言葉で伝えることは、想像以上にハードルが高かったです。また教材を使った訓練をする際にカメラ越しの確認になるため、作業方法や成果物を正確に確認できないなど、リモートならではの難しさがありました」と苦労の日々を振り返ります。

前例なき試みに対して、日本と同じ実機や教材を用い、共に作業をしながら一つひとつ進めるなど、より丁寧な指導に注力。不明点や質問事項を後回しにしないために、翻訳機能を介して迅速にSNSでコミュニケーションを取れるようにするなど体制を整備しました。さらに、タイの現地スタッフに受講者役を担ってもらうなど協力を得ながら、本番同様の環境で授業練習を行う工夫も。このような試行錯誤が実を結び、タイ校の開校は順調な滑り出しとなりました。

タイ校開校に際して新たな育成方法の可能性を見出したことは、次の現地化へのステップ、そしてさらなるグローバル化を目指す上での意識改革、体制強化の大きな糧となりました。

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タイ校で学園生の指導を担当・ Rungnapa Nachaiyo (左)と修了生・Dilok Labnongsang(右)

タイ校の修了生・Dilok Labnongsangに学園訓練で一番印象に残ったことを聞くと「『本気』唱和()」という答えが返ってきました。

※「本気唱和」とは詩人・坂村真民さんの『本気』という詩を唱和してその意味を学ぶカリキュラムのこと。

「本当に人間が全力でやれば、いろいろなことが変わってくる。見方が変わり、周りを変えることもできる。この言葉の意味を学ぶと同時に、技能訓練を通じ、本気で取り組むことで良い成果を得られるということを体感できました」。

タイ校の指導員・Rungnapa Nachaiyoは「学園の厳しい部分は維持しながらも、タイの文化に合わせることも大切。指導員と受講者両方がストレスを感じないように、楽しみながら体験、勉強ができる環境をつくりたいです」と今後に向けた意気込みを語ります。

世界で活躍するデジタル人材・グローバル人材を育成するアイシン学園

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移動に感動を、未来に笑顔を。」をグループ経営理念に掲げ、人々のを動かすようなあらゆる移動体験を世界中の人々に提供することをめざすアイシン。その実現へ向けてグループ全体をけん引する次世代のリーダー育成を担うのが、アイシン学園なのです。

成長市場の拡大、変化に強い体質づくりの立役者を目指す卒業生たち。その飛躍に期待が高まります。