クラウンとともに歩んだ、アイシンの先進技術の歴史

2022.08.10

クラウンとともに歩んだ、アイシンの先進技術の歴史

初代クラウンが誕生したのは1955年。それ以降、歴代のクラウンには当時のアイシンの先進技術が、時代に先駆けて搭載されてきました。文字通りアイシンの技術革新の歩みは、クラウンの進化とともにあったのです。

今回は、アイシンが実現してきた先進技術の数々を、クラウンの歴史とともに紹介します。

関連サイト
2022年8月から12月まで実施し好評を得た、 特別展示企画「クラウンとアイシン」 をデジタルアーカイブとしてご覧いただけます。
スライド1.JPG

「クラウンとアイシン」展デジタルアーカイブ


イージードライブの普及に貢献した、国産初の
AT「トヨグライド」

初代トヨグライド.png





全自動2速「トヨグライド」

02nd_crown_styling.jpg





2代目クラウン(1962年)

アイシンが携わったクラウンの先進技術といえば、まずは国産初のオートマチックトランスミッション(AT)「トヨグライド」が挙げられます。

国産初の高級乗用車として誕生した初代クラウンなどにもトヨグライドが搭載されることで、日本のAT時代は幕を開けました。

クルマの運転を簡単にし、乗り心地も向上させるATは、将来必ず普及する。そう予見したアイシンの前身である愛知工業は、トヨタ自動車が開発した国産初の半自動FR2速ATである初代トヨグライドの生産を、1961年から受託しました。

その後、トヨタ自動車によりトヨグライドは積極的に改良され、初代は半自動2速だったのが1963年には国産初の全自動2速に進化。2代目クラウンに搭載されました。また、アイシンの生産技術や生産体制も大きく発展し、1965年にはトヨグライド生産5万台を達成。トヨグライドの受託生産を通じて、日本のクルマ社会におけるイージードライブの普及に大きく貢献していきます。

一方で、トヨグライドはある問題を抱えていることがわかります。当時、アメリカ随一の自動車部品メーカーだった「ボーグ・ワーナー」が有するAT関連の特許に、トヨグライドの機構が抵触する可能性があったのです。1969年、トヨタ自動車を含めた3社での協議の結果、アイシンとボーグ・ワーナーの日米合弁によるAT専門メーカー「アイシン・ワーナー」が誕生。これ以降、アイシン・ワーナーは日本のモータリゼーションの進展に欠かせない存在となったATのリーディングカンパニーとして、その役割を果たしていくことになります。

クラウンへの搭載で一般化した、アイシンが手がけた車載装備

初代に採用された「ピニオン式ドアロック」と「摩擦式バンパージャッキ」







ドアロック.png





ピニオン式ドアロック

ジャッキ.JPG





摩擦式バンパージャッキ

歴代クラウンに搭載された先進技術は、ATだけではありません。観音開きドアが特徴的な初代クラウンの「ピニオン式ドアロック」も、アイシンの前身である新川工業が開発したものです。

1953年から独自の研究に着手。当時は検証に使用する試験機材もなかったため、測定器から自社製作して開発に取り組みました。苦難の末、1954年にドアロックは完成。初代クラウンに採用されます。採用後も、より良い製品の提供をめざして何度も設計変更を繰り返し、品質の安定化に努めました。この粘り強い対応は、当時のエンジニアたちを大きく成長させる経験となりました。

また、国産初の「摩擦式バンパージャッキ」も、欧米の一流メーカーと遜色ないものをつくろうと新川工業が自社開発したもの。最初に検討していた構造では、ネジ山が摩損し失敗。試行錯誤を重ね、新しい構造への改良で完成に至りました。このジャッキも、初代クラウンの車載工具として採用されています。

すべて手探りで開発・生産に挑んだ、 FR3速オートマチックトランスミッション「03-55











<a href="/jp/aithink/uploads/03-55_revised_1.png"><img alt="03-55_revised.png" src="/jp/aithink/assets_c/2022/08/03-55_revised_1-thumb-500xauto-7498.png" width="400" height="266" class="mt-image-center" caption="false" /></a>FR3速オートマチックトランスミッション「03-55」

05th_crown_styling.jpg





5代目クラウン(1974年)

クラウンを筆頭にトヨタ自動車の増産体制が整い始めると、トヨグライドに代わる新たなATの導入が望まれます。これを受けてアイシン・ワーナーは、耐久性とシフトフィーリングに優れるまったく新しいFR3速オートマチックトランスミッション「03-55」の開発・生産に乗り出しました。

ボーグ・ワーナーのイギリスの子会社から派遣された技術部長の指揮のもと、英語で書かれた設計図の解読やボーグ・ワーナーへの英文レポートの作成といった難問と向き合いながら、エンジニアたちは開発に取り組みました。

約3年の開発期間を経て、03-55は完成。5代目クラウンに採用された03-55の生産が始まると、アイシン・ワーナーは驚くべき方針を打ち出します。それは、全数検査の実施。完成したすべてのATを一台ずつ実車に載せ、一定距離を走らせて検査するというものです。その結果、03-55は信頼性が極めて高く、高性能ATという評価を獲得することができました。

世界初の「電動チルト&テレスコピック・ステアリングコラム」

07th_crown_styling.jpg

7代目クラウン(1983年)

80年代に入ると、クラウンの高級志向はさらに拡大します。世界最高級のプレステージサルーンというテーマにふさわしい装備として、従来手動式だったステアリングホイールの角度(チルト)と距離調整(テレスコピック)の両機能を電動化した世界初の「電動チルト&テレスコピック・ステアリングコラム」をアイシンが開発。「いつかはクラウン。」で有名な7代目に搭載され、クラウンでしか味わえない高級感と快適性を提供しました。

カーボンニュートラルの実現に向けた、電動化技術の時代へ

1M.jpg





1モーターハイブリッドトランスミッション

16th_crown.jpg





16代目クラウン(2022年)

時代の変化とともに、2000年代にはクラウンにもハイブリッドモデルが登場します。13代目のクラウンには、アイシン初のFRハイブリッドトランスミッションが採用され、長きにわたってハイブリッドの進化を支えてきました。

そして2022年、いよいよ最新の16代目クラウンが誕生しました。新型クラウンのCROSSOVER RSには、BluE Nexus、アイシン、デンソーの3社で共同開発した最新鋭の電動ユニット「1モーターハイブリッドトランスミッション」と「eAxle」が採用されています。

フロントに搭載された1モーターハイブリッドトランスミッションは、新開発のDirect Shift-6ATと、駆動モーター、インバーターを一体化。リアに搭載されたeAxleは、トヨタ「bZ4X」でも採用されています。

これらの電動ユニットと2.4Lターボエンジンのポテンシャルを最大限に活用することで、 新型クラウン CROSSOVER RSはプレミアムモデルにふさわしい優れた燃費性能と加速性能を実現。ダイレクト感のある走りと上質なドライビングフィールをもたらします。

このようにアイシンの先進技術は、最新のクラウンでも新たな魅力の創造に貢献しています。
クラウンの変遷と足並みをそろえるように、時代に求められる技術をつねに探究し、開発してきたアイシン。その原動力は、多くのお客様に移動する喜びと感動を届けたいという想いから生まれたものでした。それは「“移動”に感動を、未来に笑顔を。」という私たちの理念そのものです。

これからも私たちアイシンは、さまざまなお客様のニーズはもちろん、社会課題や環境問題にも具体的なアプローチで応えながら、誰もが安心・快適な未来の創造に努めてまいります。

この記事をシェアする

  • X
  • Facebook
  • linkedin