「BEV」の進化に貢献、アイシンの幅広い電動化技術
~TOYOTA「bZ4X」に搭載 電動化の未来に向けたさらなる一歩~
2022.04.13
CO2排出量の削減を通じて社会のカーボンニュートラル実現に貢献すべく、クルマの電動化が加速しています。
クルマの電動化の具体策である「電動車」とは、バッテリーに蓄えた電気を動力に変換して動くクルマの総称です。
①エンジンとモーター両方の動力を使って走行する「HEV(ハイブリッド車)」
②外部電源からの給電が可能なハイブリッド車「PHEV(プラグインハイブリッド車)」
③バッテリーに蓄えた電気によってモーターのみの動力で走行する「BEV(電気自動車)」
④燃料電池を搭載し、水素と酸素の化学反応によって発電する「FCEV(燃料電池車)」
上記4つが主な電動車の分類です。
国や地域によってエネルギー事情が異なり、クルマを使う人々の生活様式も様々であるため、各国・地域・ユーザーに最も適する「電動車」が選択でき、普及していくことが重要です。
「電動車」の中で、モーター駆動によって高い動力性能や静粛性を実現しながら、動力にガソリンを使用しないため車両からのCO2排出量をゼロにできる「BEV」。クルマの電動化の中でも注目されている車両のひとつですが、「BEV」は私たちの生活の中でどのように活躍し、進化していくのでしょうか。
「BEV」の進化とアイシンの技術
「BEV」で長距離ドライブを実現
「BEV」は、バッテリーに蓄えた電気が動力源になるため、「どれだけ多くの電気を貯められるか(バッテリーの性能・容量)」、「貯めた電気をいかに効率的に使用することができるか」といった点が、クルマの航続距離の決め手になります。
「貯めた電気をいかに効率的に使用することができるか」というのは、ガソリン車で“リッター何km走れるか”を示す「燃費」と同様に、“ある電気の量でどれだけ走れるか”という「電費」で示すことができます。
アイシンはこの「電費」の向上に貢献する様々な製品を開発・生産しています。
BluE Nexus※1とデンソーとの3社で共同開発した「eAxle」は、モーター、インバーター(モーター制御装置)、ギアを全て一体化した「BEV」の駆動源です。2022年4月の新型モデルについては、モーターの磁石配置の最適化、電動ユニット向け低粘度オイルの採用などの新技術を投入し、電動ユニットとしてトップクラスの電費に貢献しています。
※1 2019年にデンソーと共同で設立した、電動化システム・電動駆動モジュールの開発・適合・販売に特化した会社。
「電費」向上には、減速時に充電する回生ブレーキをうまく使うこともポイントです。これまで捨てていたエネルギー(クルマを止めようとする力)を回収して、動力に使う電気として再利用できます。グループ会社のアドヴィックスは、この回生ブレーキと、従来の電子制御された油圧ブレーキをうまく使い分け、エネルギー回収と高いブレーキフィーリングを両立する「回生協調ブレーキシステム」を主力製品としており、トップレベルの累計生産台数を誇っています。
どんなクルマでも大事なのは“安全・安心”
電動化が進展しても、クルマ社会の“安全・安心”の重要性は変わらず、クルマの安全・安心に対する業界や各企業の飽くなき探求は続きます。これまでに積み上げてきた製品性能や技術を継続するだけでなく、「電動車」ならではの安全についても改めて対策する必要があります。
特に「BEV」においては、万が一の衝突などがあった場合に、乗員だけでなくもう一つ、しっかりと守らなければならないものがあります。それは、多くの場合が床下全域に広く搭載されているバッテリーです。車両に大きな衝撃が加わったとしても、バッテリーがしっかりと保護され、故障や二次災害に繋がらないようにすることが重要です。
アイシンの「ロッカーEA材」は、床下の電池ケース左右にそれぞれ組み付けられ、横からの衝突があった場合にバッテリーを保護する部品です。この部品自体が、衝撃を吸収しながら上手につぶれることで、バッテリーに伝わる衝撃がなるべく小さくなるような設計になっています。
この「一番良いつぶれかたをする断面」(ラダー断面構造)を開発するのに、独自のシミュレーション解析技術と実際の試作品による試験を繰り返して完成しました。
充電を便利に、スムーズに
「電動車」の普及に伴って、クルマの充電ができる施設や設備も充実してきています。「BEV」で快適にドライブをするには、クルマそのものの航続距離が長くあることはもちろん、充電できる施設や設備に便利にアクセスできることも大事です。
「昨日充電するのを忘れたけど、この先どのくらい走行できるかな?」「バッテリーが少なくなってきたけど、近くで充電できる所があるかな?」そんな思いにクルマが応えてくれたら、私たちは安心して「BEV」を運転することができます。
アイシンが提供する「カーナビゲーションシステム」には、これまで培ってきた技術を生かした「航続可能エリアの円形表示」「充電施設検索」「移動支援」などの機能が搭載されています。「BEV」ならではのユーザーの思いに、技術でしっかりと応え、快適な「BEV」でのドライブに貢献します。
TOYOTA bZシリーズ第一弾「bZ4X」にアイシンの幅広い製品が搭載
トヨタ自動車が5月に「bZ4X」のリース販売を開始します。「bZ4X」はTOYOTA bZシリーズ第一弾となるミディアムセグメントSUV型BEVです。航続距離や安全面などBEVならではの要件を盛り込みながら、一台のクルマとして魅力のある走り、乗員全員が楽しい時間や空間の共有などを追求した新車両で、トヨタ自動車はこの「bZ4X」からフルラインアップでBEVの展開を推進していきます。
「bZ4X」には、eAxle、回生協調ブレーキシステムなどをはじめとする多くの電動化商品が搭載されており、アイシンが考える「電動化の未来」を具現化していく大きな一歩となります。
アイシンは、これまで培ってきた幅広い領域の製品や技術、ノウハウを活かしフルラインアップで選択肢を用意すること、また車両ごとの特性に合わせた機能や性能を提案することで、あらゆるお客様の期待に応え、経営理念である「”移動”に感動を、未来に笑顔を」を実現していきます。
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