アイシン電動化新技術試乗会 ー「超小型eAxle」がクルマを革新する⁉

2022.11.02

アイシン電動化新技術試乗会 ー「超小型eAxle」がクルマを革新する⁉

グローバルな規模で掲げられたSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて、クルマ社会は大きな変革期を迎え、パワートレインは内燃機関(エンジン)からモーターへと電動化の動きが活発化しています。

「生産」と「製品」の両軸でカーボンニュートラルに取り組むアイシン。パワートレイン製品では、ハイブリッド車や電気自動車(BEV)などの電動車に搭載される「eAxle(eアクスル)」や「1モーターハイブリッドトランスミッション」といった電動ユニットをフルラインアップ化しています。中でも、今後需要の拡大が見込まれるBEVの駆動源であるeAxleを最重要戦略製品と位置づけ、BluE Nexusやデンソーと3社共同で開発を加速させています。

※ 2019年にデンソーと共同で設立した、電動化システム・電動駆動モジュールの開発・適合・販売に特化した会社(現在は、アイシンとデンソーが各45%、トヨタ自動車が10%を出資)

2022年9月下旬には、愛知県豊田市にあるアイシン藤岡試験場に報道関係者などを招いて「電動化新技術試乗会」を開催し、開発中の最新技術を披露しました。今回は、その中で発表した内容も交え、アイシンの電動化の取り組みを紹介します。

アイシンが挑み続ける「高効率・小型化」

国や地域によってエネルギー事情は異なり、クルマを使う人々の生活様式もさまざまです。そのため、アイシンは世界中に広がるお客様の電動化ニーズにスピーディーに対応するために、昨年11月に発表した下記のロードマップを実現すべく技術開発を加速させています。

画像①_eAxle ラインアップ.jpg

アイシンの強みは、これまで半世紀にわたりオートマチックトランスミッション(AT)の開発で培ってきたギアやシャフト、ケーシングなどの技術や生産設備を電動ユニットにも応用、転用でき、さらにそれを発展させられること。また、ATで磨き上げた「高効率」「小型化」の技術をeAxleの開発に生かせることです。

それらの強みを生かし2020年に量産を開始したeAxleは、2022年にはギア、モーター、そしてモーターを制御するインバーターを一体化した「第1世代eAxle」へと進化。前輪駆動用と後輪駆動用を生産し、トヨタbZ4Xをはじめ新型クラウンにも搭載されています。

※ BluE Nexus、アイシン、デンソーで共同開発

続いて2025年ごろには、「第2世代eAxle」を小型車から大型車までそれぞれのサイズや用途にあわせて、スモール、ミディアム、ラージ/プレミアムの3種類、新規投入する予定です。

画像②_第2世代.jpg

試乗会で公開したラージ/プレミアム用第2世代eAxle(大容量)

クルマ全体で10%以上の電費(電力の消費率:エンジン車の燃費に相当)向上をめざして、一段と高効率化を図るためにモーターやギアの回転で生じる抵抗の低減を徹底的に追求しています。電費が10%向上すれば、バッテリーの搭載量を10%減らすことができ、クルマの軽量化やコストダウンにも大きく貢献することができるのです。

掲げた目標は「体格2分の1」 

アイシンは、第2世代eAxleに続くパワートレインの企画、開発を加速させるために、2021年7月に「PT先行開発部」を新設。さらにドラスティックな進化をめざした「第3世代eAxle」の先行開発を進め、わずか1年足らずの2022年の春には試作品を完成させました。

2027年ごろの投入を予定するこの製品の注目すべきポイントは、驚異的なコンパクト設計にあります。下の写真をご覧ください。第1世代eAxle に対して、第3 世代のそれは「体格(体積)2分の1」を目標に掲げ、徹底的な小型化を図っています。

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試乗会で公開した第3世代eAxleと第1世代eAxleの大きさ比較

モーターはもちろん、ギアトレインも刷新し、さらなる高効率・小型化を徹底しています。あらゆる部品を削ぎ落とした繭玉のような小さなフォルムで、重量も約30%減を実現しました。しかも、この体格でも走りは発進時からスムーズで、高速域までの加速力も十分にパワフルです。

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超小型の第3世代eAxleを搭載した試乗車の力強い走行の様子

前輪駆動用、後輪駆動用のどちらにも搭載可能で、多くの電動化ニーズに対応できます。この小型化を追求したeAxleの普及は、製品自体の材料低減や省資源化、さらには廃棄物低減にもつながり、カーボンニュートラルの実現に貢献できるとアイシンは考えています。

小型化がもたらすメリットは計り知れない

クルマのパワートレインが小さな電動ユニットに置き換わるようになると、車体設計にも自由度が増します。

例えば、クルマの前から後ろまでほぼフラットなフロアを構築することも可能に。重量物であるバッテリーは床下に納め、eAxleも低い位置に配置できるので、低重心化によってクルマがより安定し、ドライバーは意のままに運転しやすくなるでしょう。

また、衝突安全に対しても、これまでは強固なエンジンブロックが車室内に押しやられ、乗員のケガにつながるリスクが考慮されていましたが、超小型eAxleならその危険の回避にも。そうなれば、ボディ剛性や衝撃吸収に対するデザインも変えることができるかもしれません。

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アイシンは、eAxleの小型化によって、これからのクルマのデザインや商品性の革新に大きく貢献できると考えています。培ってきた技術を生かし、総力を挙げて取り組むことで、常に一歩先を行く製品を開発し、電動化社会への期待に応えていきます。

アイシンが掲げる経営理念「“移動”に感動を、未来に笑顔を。」
クルマの電動化への取り組みを通じて、これからも世界中のお客様に「感動」をお届けしていきます。次回は、eAxleなどの電動ユニット以外の幅広い領域で電動化に取り組むアイシングループを紹介します。

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