熱処理加工の高い技術・知見で品質も安全も守る
2026.06.25
アイシンには、高度な技能と深い専門知識を持ち、現場の安全・品質を支え続けるプロフェッショナルがいます。
田原工場で、浸炭と呼ばれる金属部品の特性を高める熱処理などに技能を発揮している坂井亮太は、班長としてのリーダーシップでもチームをけん引しています。
熱処理加工の技を磨き、安全・品質を支える
入社以来、自動車部品に焼き入れ(金属を高温で加熱し急冷することで硬度を高める加工)を行う熱処理加工で技能やスキルを磨いてきた坂井は、現在、技能員の指導のほか、設備点検や在庫管理などライン外の業務で安全や品質を支えています。また今年から班長になったことで、これまで以上にチームの円滑なコミュニケーションに気を配るようになりました。気さくで親しみやすい人柄は他部署にも多くのネットワークを持ち、幅広い知見を改善に生かしています。
上司や技能員と共に改善などもフランクに話し合う
坂井:熱処理加工の現場では、大小さまざまなギアなどの部品に焼き入れをし、硬度や強度、粘り強さなどを高めています。その際には、製品ごとに求められる特性を持たせるため、加熱温度や時間などそれぞれに合った条件を設定する必要があり、高度な専門知識や経験、ノウハウが求められます。
熱処理にはプロパンガスを使っており、正しい扱い方をすることが安全上必須なので、そのための教育を受け過去の事例なども徹底して頭に入れて作業しています。実際、私がこの部署に入ってからも、熱処理に関しては全メンバーが万全を期して作業にあたっており、これまで災害につながるトラブルなく業務を続けてきました。

浸炭炉に規定を超えて酸素が入らないよう炎の状態を厳しくチェック
例えば、部品の硬度を向上させるため表面に炭素の層を形成する「浸炭炉」は、炉内に部品を入れる際に炎のカーテンで規定以上に酸素が入らないようにしています。こうした火を使う設備や道具に関しては厳しい点検項目があり、私たちはその項目だけでなく、火災につながるような危険がないか常に五感でチェックしています。そうすることで、些細な異音などにも気づいてトラブルの未然防止につながります。
良好なコミュニケーションは改善にも貢献
坂井:安全や品質と共に、日頃から意識しているのが自分から積極的に声がけを行う、チームメンバーとのコミュニケーションです。メンバーの中には人と話すのが苦手な人もいますので、やはりこちらからアプローチするのが大事で、休憩時間の雑談なども関係づくりに役立ちます。
そうした普段の何気ない会話の中から、3Fと呼ばれる「負担・不安・不満」の声を吸い上げ、チームで共有することができます。それらを改善することが、誰もが気持ちよく仕事ができる環境や、作業の効率化、職場の安全性につながり、品質を向上させる源泉になると考えています。

炭素量を測定するためCPコイルを先端につけた長いCP棒を炉内に差し込む
これまでチームで意見を出し合い、作業がやりやすくなった改善事例のひとつに、CP棒の折りたたみ治具があります。熱処理加工に使う浸炭炉は、炉内の温度や炭素量がセンサーで常時制御・管理されていますが、定期的に直接炉内の炭素量を測ることも重要な業務になっています。それに用いるのが、CP棒と呼ばれる長い棒とその先端につけて炭素量を測るCPコイルで、炉の中に一定時間差し込み、抜いたあと炭素量を測定します。このとき、1000度近い炉の中に入れていたCP棒は非常に高温で、しかもかなりの長さがあるため取り扱いには注意が必要です。そこで、CP棒を折りたたんで収納できる治具を作成し、測定時の安全性を格段に向上させることができました。
高温のCP棒を折りたたんで収納できるよう改善
日頃の備えが万一の事態でも真価を発揮
坂井:熱処理加工の職場に長く携わる中では、身をもって安全性の重要さを実感する経験もしました。それが、昨年1月に発生した長時間にわたる停電です。浸炭炉の焼き入れは炉の中にプロパンガスを供給し、電気ヒーターを使って行っています。このため、停電は炉内が不安定な状態になる危険性があり、昨年1月の停電の際は、上司の指示のもと直ちにメンバー全員で手分けをして安全性を高める処置をしました。
午後1時過ぎに発生した停電が完全に復旧したのは4時くらいでしたので、その間は緊張が続く中で全員が一丸となって対応を続けました。その甲斐あって危険な状況にならず停電を乗り切ることができ、今後同様の状況が発生した際の貴重な記録としてもしっかり残しました。

熱処理設備の稼働状況は常にリアルタイムで把握 気になることがあれば常に上司と相談
全員がこうした対応を落ち着いてできたのは、普段から熱処理加工設備に対し、点検項目以外でも火災につながるような所がないか、常に注意してチェックしていたことが生かされたのだと思います。
若手メンバーの成長が大きなやりがい
坂井:この仕事では、若いメンバーの成長にやりがいや喜びを感じることが多いです。以前、熱処理加工を行っていてセンサーの測定値や波形に普段との違いが見られたとき、若いメンバーから的確な対応を提案する発言が出て成長を実感しました。
改善についても、若いメンバーからアイデアが出て全員が便利になったときは、「よしっ!」と思いますね。先般も、設備ごとに分かれていた熱処理設備に油をさす工程を、若いメンバーが一カ所にまとめる改善をしてくれて、非常に効率がよくなりました。そうした提案が出るのも日ごろのコミュニケーションの成果だと思うと、余計にうれしかったです。

幅広い視野で働きやすい環境をつくれるリーダーに
坂井:これから部署を担っていく若いメンバーに伝えたいことは、成長のチャンスになるような新しい業務には、積極的にチャレンジしてほしいということです。また、提案や要望なども遠慮せずに話してもらえれば、私たちも必ず対応するので思いをどんどんぶつけてほしいですね。
お互いフランクに笑い合える関係性をつくることも意識するといいと思います。言いたいことを遠慮なく言えれば職場の風通しもよくなり、全員にメリットがあるのでぜひ今日からでも実践してほしいです。
私自身が今後めざしていきたいことは、班長になったこともあり、自分の職場だけの知識や経験だけでなく、他の部署の業務にもこれまで以上に関心を持ち、広い視野で工場全体が見られるようにしていきたいです。そうすることで、将来的に部署で新たな業務にチャレンジするときも、メンバー全員が取り組みやすい環境をつくっていけるのではないかと思っています。





