磨き上げた溶接技術を製品にも伝承にも生かす

2026.03.16

磨き上げた溶接技術を製品にも伝承にも生かす

アイシンの各工場には高い技能やスキル、信念を持った、「匠」と呼ぶに相応しい仲間がいます。
安城工場で、都市ガスから電気と熱(お湯)をつくるシステム「エネファーム」の心臓部といえるホットモジュールの生産に携わっている岩田は、自ら研鑽を重ねるとともに、若いメンバーにその高い溶接技術を伝承しています。

できたときの喜びを若いメンバーにも味わってほしい!

グループ会社からアイシンに転籍して12年目の岩田は、エネファームが発電を行うホットモジュールの製造部署で、班長を務めています。ここで行われているユニットの溶接は、人の繊細な感覚が求められるためロボット溶接が難しく、岩田は若手にその技能を指導しながら異常処置や作業者のサポートで生産ラインも支えています。

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岩田:班長になって3年、現在は主にラインの状況に目を配って問題が発生すればすぐ対応し、改善にも取り組んでいます。これまでの経験から「この問題なら、原因は多分あれかな」と推測できるので、メンバーには問題への対応だけでなく、それをどう未然に防ぐかも指導しています。

最初に溶接の現場に配属されたときは自分もかなり苦労し、うまくいかない状況が続いたときは「本当にできるようになるんだろうか」という不安が膨らんでいました。説明を受けても感覚的な部分が多く、例えば溶接する部分の金属が溶けた状態を「池になる」と言うのですが、先輩から「池になったら溶接棒を入れろ」と言われても、その微妙なタイミングが掴めないのです。

ですから、数カ月が過ぎたころ「あっ!このタイミングか!」とわかったときは本当にうれしかったですね。その喜びを若いメンバーにも味わってほしく、溶接の際の独特の動きやタイミングを、自分なりに工夫を加えてわかりやすく説明するよう心掛けています。もちろん、道具の持ち方ひとつとっても使いやすさは人それぞれなので、本人にもいろいろ試してもらいながら指導しています。

2.jpg若手のメンバーを指導する際は技術的なことだけでなく説明のわかりやすさも意識している

決め手は「最適な位置」「距離感」「タイミング」

岩田:部品の円周部や構造が複雑な部分の溶接は熟練の技と感覚が必要で、どうしてもロボットでは対応できないところがあります。また、ロボットを導入した工程でも、動きやタイミングが微妙にずれるときは、自分たちの動きや感覚的な部分を極力フィードバックして調整しています。

私たちの部署が行っている溶接は、一般にイメージする火花が飛ぶ溶接とは種類の異なるTIG(ティグ)溶接と呼ばれるものです。これは電気を用いて行う溶接で、建築物などで用いられる場合は溶接する金属板の厚みが30ミリくらいあるのですが、ホットモジュールで使う金属板は約1ミリと非常に薄く、かなり特殊で難易度の高い溶接になります。

具体的には、トーチと呼ばれる電極のついた棒と母材の間にアーク放電を発生させ、その熱で母材を溶かして溶接します。難しいのはこのとき単に溶接するだけなく、気密性を持たせる必要があることです。溶接の位置が数ミリずれても、電極と母材の距離が遠くても近くても駄目で、最適な位置や距離感、タイミングを自分のものにするまでには、かなりの時間と経験を要します。

3.jpg難しい溶接技術を習得した今も現状に満足することなく常に技術を磨く

「楽しい職場」をモットーにメンバーの声を吸い上げる

岩田:班長になってもうひとつ気を配るようになったのは、人間関係と職場の雰囲気ですね。それは業務とも深くかかわっており、実際に仕事をしてくれるのは現場のメンバーですから、いい雰囲気で気持ちが乗ればラインはうまく回るものなんです。

そのための基本は”円滑なコミュニケーション”です。自分から話すのが得意でないメンバーもいますので、仕事に関することだけでなく、雑談も含めて普段から折に触れ声をかけるようにしています。自分のモットーは「楽しい職場」なので、困っていることや悩みを吸い上げ相談に乗ることも多いです。

また、ラインをスムーズに流すには、作業のやりやすさや無駄な動きを減らすことが重要です。このため、使いやすい道具置きなどは大事なポイントで、それを自分でつくれてしまうのは、溶接技術を身につけたこの部署のメンバーならではです。そんな風に、チームの仲間が身につけた技能やスキルを生かし、改善につなげているのを見るのも、仕事のやりがいにつながります。


4.jpg製品の品質を支える技術を伝承する

ちなみに、プライベートで街を歩いているときに集合住宅などでエネファームを目にすることがあり、皆さんの暮らしに役立っている実感は仕事のやりがいにつながっています。子どもと一緒に歩いていてエネファームを見かけたとき「お父さんがつくっているんだよ」とつい言ってしまったこともありました。災害時にも役立つ製品の製造にかかわり、社会に貢献できるのも誇らしい気持ちになります。

5.jpg高い技術力とリーダーシップでチームの先頭に立ちさらに上をめざす

チームの先頭に立ち進む方向を示せるリーダーに

岩田:現在の目標は、チームの一人ひとりがいつも前向きに仕事に取り組めるよう、もっと楽しく明るい職場を実現していくことです。そのためにも、皆の先頭に立って引っ張るリーダーをめざしていいます。

皆が進むべき方向性を示してKPI (重要業績評価指標)の目標達成や職場の改善を推進し、全員が心をひとつに業務に取り組んでいけるようにすることが、高品質な製品づくりにつながりますね。

職場は多様な個性を持った人材が集まり、一人ではできない仕事も力を合わせて成し遂げられるところです。だからこそ、相手の考えを尊重し、自分の考えも伝えながら共により良い方向を見つけていくことが大事なんです。自分も仲間を尊重する姿勢を忘れず、一緒に挑戦を続けていきます。

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