【T-K003】衝突安全性能を担保する、ボディ強度試験の確かな技術
#製品部品評価
#試験場/設備(F)
#開発評価(K)
スレッド試験機を用いて実現する、揺るぎない安全性の証明
安全という「当たり前」を守り抜くための強度評価
今回は製品部品評価の中から、乗員の安全に直結する重要な領域であるボディ強度試験の中の「スレッド試験」に焦点を当てます。万が一の衝突時、乗員を守る最後の砦となるのが、シートやシートベルト、エアバッグといった安全部品です。これらが設計通りの性能を発揮するかどうかを検証することは、自動車開発において最も基本的であり、かつ極めて重い責任を伴うプロセスです。本記事では、エフティテクノが提供するスレッド試験の現場と、そこで重視されている「再現性」という価値について解説します。
衝突現象を「再現」するスレッド試験
実車を壁に衝突させる破壊試験とは異なり、スレッド試験は台車(スレッド)の上にボディや部品を固定し、衝撃パルスを与えることで衝突時の挙動(衝撃を受けた際の変形や動き)を模擬します。この試験の最大の価値は、「再現性」にあります。
実車衝突では一度きりの現象も、スレッド試験であれば、まったく同じ衝撃波形を、意図した通りに何度でも繰り返し発生させることが可能です。この制御された環境下でデータを積み重ねることにより、部品単体の挙動や強度を、ノイズの少ない純粋なデータとして検証することができます。スレッド試験機を用いることで、以下のような多岐にわたる製品に対し、耐衝撃性や性能の評価を行うことが可能です。
【主な評価対象と試験内容】
数値の裏側にある、緻密な準備と設定
試験機が正確に作動することは大前提ですが、正しいデータを得るためには、それ以前の「準備」にこそ専門性が問われます。例えば、ダミー人形の着座姿勢一つをとっても、ミリ単位の厳格な規定が存在します。シートベルトの締め付けトルク、ハイスピードカメラのアングル、センサーの配置。これら全ての条件が整って初めて、信頼に足るデータが得られます。
技術者は、手順書に定められた「当たり前」の準備を、毎回実直に遂行します。派手さはありませんが、この地道な工程の積み重ねが、評価結果の客観性を担保しています。
データが語る「事実」を届ける
評価によって得られた波形データや高速度撮影映像は、開発者にとっての判断材料そのものです。そこに現象として起きた事実を正確に記録し、報告すること。それが第三者機関としての役割です。時には、想定外の挙動や破損が発生することもあります。しかし、その「NG」という事実こそが、より安全な製品へと改良するための重要な手がかりとなります。
客観的なデータを迅速かつ正確に提供することで、お客様の設計開発を後方から支え、最終的な製品の安全性向上に貢献していきます。次回は試験現場に踏み込み、そこで働く技術者の想いに迫ります。
最後に
スレッド試験は、人の命に関わる領域だからこそ、一切の妥協が許されない仕事です。
設備とそれを扱う技術者の実直な姿勢。この両輪で、確かな安全性の検証をサポートします。また、ここで培われたスレッド試験スキルは、各国の法規適合性を証明する「認証評価(パッシブセーフティ)」の現場でも活かされています。開発段階の評価から最終的な認証試験まで、一貫した技術力で、お客様の車づくりを支え続けます。
