インドにおける労働争議が教訓となったアイシンの労使スタンス

①AHL労働争議の概要

2017年5月、インドにある連結子会社AISIN Automotive Haryana Pvt.Ltd.(AHL)において、同社の従業員による、労働組合設立を求めるストライキが発生しました。1ヶ月後に現地政府によるストライキ禁止令が出されましたが、これに抗議し会社通用門封鎖の実力行使に出た従業員288名の逮捕をもってストライキは収束致しました。さらにAHLは、ストライキ解除後の幾度もの呼びかけにも応じず無断欠勤を継続した従業員175名を解雇するに至りました。
アイシンとしては、争議に関与していない従業員の生命・安全を保護するための、やむを得ない対応であったと考えていますが、労使双方に大きな傷跡を残すアイシングループ史上最大の労働争議となりました。本件により、地域・取引先をはじめとするステークホルダーの皆様に多大なご心配をおかけいたしましたことをアイシンとして重く受け止めております。

②再発防止策

アイシングループにおける対応

アイシングループでは、過去に幾多の労使間の難局を乗り越えてきた教訓から、「会社の成長には労使双方がお互いの主張に耳を傾け、相互に信頼し、協力関係を築いていくことが必要不可欠」と考えております。しかし、このAHL労働争議を機に、労働慣行の異なる海外であっても「労使が相互に信頼し、協力関係を築いていくことが必要不可欠」であることを再認識・再徹底すべく、労使関係において大切にすべき考え方、「人を大切にする」「労使の相互信頼」「車の両輪としての労使(相互協力)」などを取りまとめた『アイシンの労使関係に対するスタンス』を明文化し、全アイシングループ各社へ社長名で通達致しました。
また、アイシングループの一員として、経営理念に基づいて社会的責任を果たしていくための行動規範である企業行動憲章の見直しを図り、「人権の尊重」「多様な働き方の実現」といった観点を今まで以上に強化し、アイシングループ共通の行動指針として徹底しています。
さらに、当該スタンスに沿った人事・労務運営が適切に行われているか確認するためのアセスメントツールを開発し、グローバルで順次点検を行っております。仮に点検結果において問題が見つかった場合は、予め定めたルールに基づき即時改善できる体制を構築しております。

AHLにおける対応

2017年8月4日、社長の伊原(旧アイシン精機当時の社長)がAHLにおいて従業員へ直接、マネジメントとしての反省とともにアイシンの労使スタンスを説明し、新たな再出発を宣言しました。

その後は、「労使で意見交換する場の整備」「透明性が高く公正な分かりやすい人事制度構築」「各種イベントの開催」など労使間コミュニケーション体系・施策の再構築を行い、労使間の関係改善を継続して図ってきています。
当初40%であった従業員満足度調査における肯定意見率は、19年1月調査で90%に達しました。100%を目指し、更なる充実を図ります。

③今後への宣言

AHL労働争議を教訓とし、アイシングループ全社において、このような事態を二度と起こさないという決意を胸に、すべての従業員が誇れる会社を目指します。

人事相談会
人事相談会
全社集会
全社集会