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Interview
2022年10月27日

位置情報サービス開発

位置情報サービス開発は、SDK開発への転換で多彩な用途への実装を可能にする時代へ。

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Profile

  • Y.F さんのプロフィール写真
    Y.F
    アプリケーションデザイン部/2007年度入社
    大学では自動運転を見据えたカーナビゲーションシステムを研究。その知見を活かすべくアイシンへ。入社後はカーナビの開発に従事し、その後東京の研究開発部門で先行開発に携わる。2020年より現部署。

Index

  1. 01
    「ソフトウェアファースト」と高精度化する位置情報技術
  2. 02
    小集団スクラムのアジャイル開発で、開発期間を短縮

位置情報技術の発達により、私たちの「移動」はより便利で安全なものになりました。自動運転技術をはじめとしたモビリティ革命の最前線で、新しいソフトウェア開発に挑むエンジニアに話を聞きます。

「ソフトウェアファースト」と高精度化する位置情報技術

――位置情報技術を活用したソフトウェア開発とは?

Y.F:カーナビゲーション(以下カーナビ)システム開発で培った技術をベースに、物流経路の最適化や自動速度制御装置(ISA)、自動バレー駐車、道路維持管理支援などさまざまな新サービスを社会実装していく開発業務ですね。

 

――クルマに搭載される組み込みソフトの開発ということでしょうか?

Y.F:いえ、我々は位置情報サービスのコアとなる技術を開発し、それをソフトウェア・デベロップメント・キット(SDK)として顧客や社内の各開発部署に提供する形ですね。このSDKを通じて、さまざまなサービスへの展開を図っていくという流れです。

 

――SDKはソフトウェア開発を簡略化・効率化するツールキットのことですね?

Y.F:ええ。これまで我々はハードウェアを含めたカーナビシステムを丸ごと開発して顧客に納品していましたが、近年は「カーナビの要素技術はアイシンさんのものを使い、UIは自分たちでつくりたい」というニーズが高まるなど、これまでにないスタイルの製品開発が増えてきました。そういった動きに対応するためのものですね。

 

――なぜ、そのような形に変わってきたのでしょうか?

Y.F:2020年、トヨタ自動車さんが「ソフトウェアファースト」への転換を宣言しましたが、カーナビ開発においてもこれまでセットで開発されてきたハードウェアとソフトウェアを別々に切り分けて開発し、リリース後もソフトウェアを逐次バージョンアップしていくという動きに変わりつつあります。そうなると当然のことながら、システムを丸ごと委託するという従来型の開発では「タイムリーにバージョンアップしたい」という顧客要望に対応できなくなってしまいます。

 

――バージョンアップというのは地図情報を細かく更新するものですか?

Y.F:もちろんそういうものもありますが、新しい商業施設を地図にプロットするというようなバージョンアップ機能は今や標準で搭載されています。ですので、どちらかというとエンドユーザーの反応を見てカーナビのUIを改善したり、新しい機能・サービスを追加したりといった活動を支援していくというイメージの方が近いのかなと思います。

 

――位置情報技術そのものの進歩というのも影響しているのでしょうか。

Y.F:はい。2018年に始まった「みちびき」という新しい衛星測位サービスにより、センチメートル単位での測位も可能になりました。こうした位置情報技術の進歩は、もちろんモビリティの分野でもさまざまな形で活用されています。特に恩恵が大きいのが自動運転技術ですね。わずかな測位のズレが大きな事故に繋がってしまう分野ですから。

 

――なるほど、位置情報技術の進歩は、モビリティサービスの進歩に欠かせないということですね。

Y.F:そうですね。そのほか例えばAR搭載カーナビも、精度が高まることで車載カメラの映像とバーチャルな映像がピタッと一致するようになりますので、これまでに感じたことのない移動体験をエンドユーザーに提供できるようになるはずです。


小集団スクラムのアジャイル開発で、開発期間を短縮

――こうした事業環境の変化は、やはり開発スタイルにも影響しているのでしょうか?

Y.F:そうですね、2年ほど前から全社でアジャイルへの転換がはじまるなど、大きな変革の真っ只中にあります。

 

――開発はどのような形で進めていますか?

Y.F:アプリケーションとフロントエンド、バックエンド、クラウドはそれぞれ別部署で業務を担い、それぞれの部署が小集団のスクラムで開発しています。さらに各スクラムはスクラム・オブ・スクラムを形成し、細かく情報交換しながら開発をしています。

 

――プロダクトオーナーがいて、という組織ですね?

Y.F:ええ。プロダクトオーナーが顧客との接点となり、社内のメンバーたちとスプリントを週に1〜2回のペースで行う形で進めています。

 

――コーディングも部署内で行う感じですか?

Y.F:PDCAを速く回すサービス開発においては、バケツリレーみたいなことをやればやっただけ時間のロスになってしまうので、どうしても部署内でのコーディングはありますね。私が所属するグループであれば7割ぐらいでしょうか。ただ、我々が扱うシステムは大規模なものが多いので、委託先にお願いすることももちろんあります。

 

――開発の効率化のために何か取り組んでいることはありますか?

Y.F:短い期間でアップデートに対応するためGoogle TestやJenkins、GitLabといったツールを活用したAPIレベルでの品質チェックと評価、インテグレーションを自動化し継続的に行っています。

 

――工数削減で得られるメリットとは?

Y.F:これまでは人の手でインテグレーションやテスト、納入といったことを実施していましたが、この部分をシステム化することで、各エンジニアがサービス開発に注力することができるようになりました。この点が一番大きいですね。

 

――この仕事の魅力、やりがいを教えていただけますか。

Y.F:そうですね、ふたつあって、例えばサービスの開発チームと協働してプロトタイプをつくり込み、顧客に持っていくと「よくできているね」とか「もっとこうしたほうがいい」といったフィードバックがありますよね。こうしたやり取りを重ねつつ、少しずつ良いものがつくり上がっていく工程を体感できることは純粋に面白いですね。完成時の達成感も大きいです。

 

――もうひとつは?

Y.F:エンジニアの方々に貢献できた時ですね。我々のSDKを使った後工程のエンジニアの方から「使ってみたらものすごい短い時間で、しかも簡単につくることができた」という声をもらうこともありますので。SDK導入前の開発現場がいかに大変だったかということを知っていますから、自分たちがつくったものが人の役に立っているということは一番の喜びかもしれません。

 

――最後に、この仕事にマッチするエンジニア像を教えてください。

Y.F:社会課題を解決するサービスを開発したい人、新しい技術やサービスに興味がある人ですね。そうした方であれば仕事にやりがいを感じられるでしょうし、エンジニアとして成長できる環境だと思います。